茨城の国立大が「カフェ」を構内に招いた理由 「開かれた大学」の象徴としても効果的

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茨城大の図書館とサザコーヒーの店(左側。筆者撮影)

茨城県水戸市にある国立大学法人茨城大学(水戸キャンパス)。この正門を入るとレンガ色の建物が正面に姿を見せる。同大の図書館本館だ。建物の少し左には地元の繁盛店「サザコーヒー」(サザ)の店舗もある。同県ひたちなか市に本店を持つサザは、2014年春の図書館リニューアルと同時に出店した。現在は学生、教職員のほか、一般客も利用できる。

「サザコーヒーは1969年の創業ですが、1973年から水戸市内に店を出し、長年、茨城大の関係者にもご利用いただいてきました。それが2013年に『大学の図書館内に店を出してほしい』と要望を受けて、大学側と内容を詰めて出店したのです」(創業者の鈴木誉志男会長)

大学内のカフェ誘致では、筆者の知る限り、国立大では筑波大学(茨城県つくば市)が早く、2008年に中央図書館脇に「スターバックスコーヒー」が出店している。後述するが、10年後の今年(2018年)10月1日、同大の別の敷地内にもサザが出店した。

なぜ茨城の国立大はカフェを誘致するのか。その裏事情を探った。

授業の合間を過ごせる空間づくり

「それまでの本学の図書館は、『古い・狭い・棚から蔵書がはみ出ている』という問題を抱えていました。その解消とともに新たな視点を目指して、地元の人気店に出店してもらったのです」

こう話すのは茨城大の三村信男学長だ。2014年9月に学長に就任し、同年4月のカフェ開業までは学長補佐として関わった。新たな視点でこだわったのは次の3点だという。

(1) 大学キャンパスの魅力の向上
(2) 図書館を多面的な空間にすること
(3) 外部の人が利用できるよう、大学を地域社会に開く

「大学の授業は1限からずっと続かず、授業と授業の間に空き時間ができます。その間の過ごし方を学生に聞くと『一度下宿に帰る』という声も多かった。でも、せっかく通学したのなら長く学内で過ごしてほしい。その空き時間を活用する役割が図書館です。息抜きや気分転換も必要ですから、館内のコンテンツとしてカフェは欠かせませんでした」(三村氏)

土木工学の権威でもある三村氏は「旧図書館の周りを新本館が囲む建築で、新館には蔵書を置かず、小集会場もあります。畳敷きの部屋もあり、学生は自由に使えます」と説明する。

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