茨城の国立大が「カフェ」を構内に招いた理由 「開かれた大学」の象徴としても効果的
10年後の2018年に誘致したのは、サザコーヒーだけではなく、地場のスーパー「カスミ筑波大学店」も出店。茨城県内に102店(筑波大店含む)のほか、関東地方に合計187店を展開するカスミの誘致は、学内事情とも関係していた。筑波大には、世界各国の外国人留学生が、学群生(一般の大学における学部生)や大学院生、研究生、教員など2000人以上いる。「そうした留学生の日常の買い物となる場所をつくりたかった」(同大関係者)という。
「運営費交付金」減で、厳しさを増す国立大
大学の経営は厳しさを増している。少子化による受験者総数減だけではない。国立大学の場合、国からの助成金である「国立大学運営費交付金」が年に1%ずつ減ってきた。
東洋経済新報社の調査で、総資産が多い「事業資産ランキング」では筑波大が6位。茨城大が63位だ。2016年度の経常収益(一般企業の売上高に相当)は筑波大が約944億円、茨城大が約140億円となっている。両大学とも経常収益のうち「運営費交付金」が4割強を占める。
その運営費交付金が減れば、自力で稼がなければならない。総収入減が続くと、研究施設や優秀な人材確保など教育環境整備にも影響が出る。筑波大は2015年に大学の機関紙「筑波大学新聞」に、永田恭介学長が「このままのペースで減少すると、7年後には教育・研究資金がなくなる」と発言。学内外で危機感を訴え、改革を促してきた。茨城大も2016年度には、他大学に比べて高くなっていた一般管理費を大幅に節減した。
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