なぜ日本は「廃校」や「公園」を使わないのか 「570兆円の公的不動産活用」で世界一になる
NYの「MoMA PS1」は何がすごいのか
――少子化で公立学校の統廃合が進んでいる状況で、廃校舎をどう利用するかが行政の大きな課題の1つになっています。すでに海外では廃校舎を再利用し、街全体の価値向上につなげている例がたくさんあります。代表的なのがNY(ニューヨーク)のロングアイランドシティ地区にあるMoMAの分館・「MoMA PS1」です。廃校舎を若手アーティストの作品を中心に展示する美術館として再生させ、荒廃していたエリアを現代アートの最先端の街に変え、ついには同じエリアに大手金融機関のシティグループが地上50階建てのビルを作るまでになりました。周辺エリアの価値向上にも大きく貢献した事例です。
馬場:PS1に行くと、イレズミのある黒人やプエルトリカンの怖そうな若者が「PS1」と書かれたTシャツを着て立っているんです。実は彼らは、アートについて説明してくれる係員。PS1は単に現代アートの拠点というだけでなく、職にありつけそうもないような若者に、アートの最先端にあるカッコイイ職を提供し、誇りを持たせ更生させている。そういうコミュニティのインフラまで作っているところが優れているんですね。
野尻:PS1の運営はNGO(非政府組織)でしょう。NPO(非営利組織)もそうですが、日本ではこうした組織は「儲けちゃいけない」という風潮があるけど、NPOも儲けるべきだと思います。そうすれば、日本でもNPOによる廃校舎の有効な利用法が出てくるんじゃないかな。
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