縄文人に「上下意識」があまりなかった理由

他者も自分も区別しない、という生き方

貝塚から見えてくる、縄文時代に生きた人たちの強くてしなやかな価値観とは(写真:muhi / PIXTA)

ここまで、縄文人たちの世界観や恋愛、出産、子育てと論じてきたが、何となく彼らの暮らしが見えてきたのではないだろうか。そこで今回は、彼らの世界観にもう少し踏み込んでみたいと思う。今回も筆者の想像の部分があることをご了承願いたい。

男だって木の実を拾う

桃太郎という昔話がある。

読者の多くが一度は目にしたこと、耳にしたことがある話だろう。その話の一節に、「おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました」という部分がある。これは、男女の仕事の役割分担を表現しているわけだが、縄文時代についても同じように、仕事の役割分担のイメージがある。男は動物を狩猟し、女は木の実を採集する、というもの。

過去の連載はこちら

しかしそれは本当なのだろうか。

ここで少し食料確保の話をしたい。縄文人たちは自然を熟知し、四季折々に応じて食料を獲得していた。それを縄文時代研究の第一人者、小林達雄氏は「縄文カレンダー」としてまとめている。それによれば、狩猟は秋から冬にかけてやっていたらしい。イノシシやシカが越冬に備えて食料をしこたま食べ、脂が乗ったところを縄文人は狩っていた。

今の猟師たちも同じである。だからちまたのジビエ料理もだいたい秋から始まるのだ。縄文人たちは肉のいちばんおいしい時期を知っていたというわけ。じゃあ、ほかの季節は何をしていたかというと、春から夏にかけては魚介を獲っていた。地域差はもちろんあるが、丸木舟を使って集団で漁に出ることもあるし、波打ち際で貝をせっせと獲っていることもある。春は山菜を採りに山に入ったり、秋は集落の人間総出で木の実を拾い集めたことだろう。

もちろん、これら以外にも彼らは食料獲得の活動を1年中行っているわけだが、男女の仕事の役割は、既存のイメージとは少し違うのではないかと個人的には考えている

確かに200キロを超えるイノシシ狩りの現場に女性がいるのは危険すぎる。しかし、海や川での漁であれば参加することもあったはずだ。今だって夫婦舟で漁に出る人たちもいるわけだし。子どもだって十分戦力になる。

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