平成の終わり間際になって突然、縄文時代が注目を浴びていることで始まった本連載。前回(空前の「縄文ブーム」背後にある日本人の憂鬱)は、縄文人たちの世界観と、そこに惹かれる現代人について述べた。そこで今回は、彼らの暮らし、主に出産や子育てにまつわる話について具体的に紹介していこうと思う。
ただし、ここに記載する内容は、発掘調査によって見つかった遺構、および出土物から「こうではないか」と考えられることである。つまり、遺物から想像すると、ということであり、どんなに高名な研究者であろうと、タイムマシンに乗って当時を確認しないかぎり正解はわからない。そのことを念頭にお読みいただければと思う。
縄文人はどんな恋愛をしていのか
講演会やトークイベントなどで、「縄文人たちも人を好きになったりしていたんでしょうか」と、聞かれることがある。これはなかなか衝撃的な質問だ。
確かに縄文人は昔の人たちすぎて、自分の想像をはるかに超えてしまっているから、「恋愛していたかどうか想像できない」ということかもしれない。そこで、この質問がされたときには決まってこう答えるようにしている。
「私たちと同じホモ・サピエンスですからね。きっと人のことを好きになったり、大事に思ったりしていたはずです」
1万年以上前の人たちと、今の私たちをつなげて考えるのは難しい。あまりに環境も暮らしも違いすぎるから、同じ人間とは思えないのかもしれない。しかし、前回も書いたように、私たちの中には縄文人のDNAがおよそ12%引き継がれている(沖縄、アイヌの人々はもっと多い)。
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