平成30年間を「節約の歴史」で振り返ってみた

主婦雑誌に携わり続けてきた著者が分析

この期間は先述のPCのように、手を掛けた節約よりも節約ツールを利用した「お得ワザ」も多くなる。今では当たり前になった、ポイントカード(紙だが)や、クレジットカードを使った割引についてだ。

主婦にとって身近なのはデパートカードだったようで、たぶん一般的な国際ブランド付きカードより年会費が安かったあるいは無料だったからだと思われる。当時は、会計時にカード提示だけでつねに5%オフという驚くようなサービスも行われていたため、節約達人主婦は先に金券ショップで商品券を買っておき、カード提示の5%オフとダブルで安く買っていたと自慢している。勉強になる。

また、ガラケーを使いこなす主婦が増えてきたのもこのころだ。ドコモのiモード全盛時にはパケット代を節約する方法も語られている。「メールは半角カタカナで入力する」「絵文字ひと文字だけで要件を伝える」「画像はカラーでなくモノクロで送る」等々。「長い用件はFAXで」というのは、固定電話がまだどの家庭にも必ずあったからこそできる話だろう。

平成13年(2001年)にはSuicaが、PASUMO、nanaco、WAONは19年(2007年)からサービスが開始した。14~15年(2002~2003年)には、Tポイントや楽天スーパーポイントが、今とは異なる形ではあるが動き出している。今に続く節約ツールが産声を上げた10年間だとも言えるだろう。

節約はテクニックから思想の時代に(2009~2018年)

しかし、時代は過酷になっていく。

平成19年(2007年)のサブプライムローン不良債権化に続いて、翌年20年(2008年)にはリーマンショックが起きた。日本企業の業績は悪化、さらに為替も円高に向かってまっしぐら。その数年前から有名大卒であっても正社員になれない時代が続く。派遣切りなんて言葉も飛び交った。

デフレの空気はますます濃くなり、ファストファッションが流行語に選ばれた。給料はとんと増えず、使えるお金が限られる中、より安いものを求める消費者と、より安いものを売る企業が、今に続くデフレマインドをともに培ってしまった。

さらに、平成23年(2011年)の東日本大震災以降、「本当の豊かさとは」がしきりに語られるようになったと思う。多くのものを持つことよりも、自分が本当に満足できるものを厳選する、という意識はさらに濃くなり、『断捨離』(やましたひでこ氏)や『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵氏)がブームになっていたこともあわせ、ものとの付き合い方が生き方を変えるというメンタリズムが定着した。

将来が不安になり、かつ給料が増えない世の中では、お金はますます重要となり、節約意識も高まる。しかし、平成の最初と大きく違うのは、特売日に買いだめをするという節約主婦は減ったことだ。100万円貯めている主婦は、普段から買いだめはせず、必要以上にストックは持たず、冷蔵庫の食材は使い切れる分だけ。洋服もクローゼットに10着程度で納めている。その分、家族レジャーはお金をかける。節約テクよりも、節約思想が尊ばれるようになった。

次ページITの移り変わりにも機敏に順応する主婦たち
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 就職四季報プラスワン
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
コロナでもブームは過熱中<br>不動産投資 天国と地獄

家計のカネ余りを背景に、マンションやアパートなどへの投資熱は冷める気配がありません。しかし、不動産投資にリスクはつきもの。先行きが見通せない状況で、何が優勝劣敗を分けるのでしょうか。現場の最前線を追いました。

東洋経済education×ICT