上意下達が大嫌いな日本人こそ「民主的」だ トップダウンを強制しても成功できない理由

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柴山:丸山眞男以後、「日本型組織は責任を取らない」という言い方がよくなされますが、アングロサクソン型の場合も組織は別に責任は取らない。ただ間違った決定をしたトップをどんどん代えるだけです。

変化への対応はどちらが得意か

佐藤:丸山眞男が問題にしているのは、敗戦の責任を天皇が取らなかったことですよね。日本の伝統的な組織はボトムアップ型で、その長所もある。しかし物事の基本的な枠組み、いわゆるパラダイムが安定している間はいいとして、それが揺らいだときに対応できるか。

佐藤 健志(さとう けんじ)/評論家・作家。1966年、東京都生まれ。東京大学教養学部卒業。戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』(1989年)で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞。『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋、1992年)以来、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。主な著書に『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『右の売国、左の亡国』(アスペクト)など。最新刊は『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)(写真:佐藤 健志)

ボトムアップ型だけに、トップであろうと枠組みを率先して変えるのは難しい。ズルズル泥沼化するリスクは無視できません。そしてこれも、実は一種の集団主義です。ボトムアップ型だけに同調圧力が強い、ということだってあるでしょう。

柴山:ボトムアップ型だといったん全員で合意した路線は、うまくいかなくてもすぐには切り替えができないという問題はありますね。いちはやく気づいた人が時間をかけて根回しして、方向を修正しなくてはならない。

中野:ただ、現場の判断で動けるということは、実は変化への対応に関しては優位性があるんじゃないでしょうか。デジタル社会になってよく「フラット型」「分散型」がいいと言われるけれども、ならば、トップダウン型はデジタル社会ではもはや時代遅れということではないか。トップダウン型より分散型の組織のほうが変化に強いというなら、日本型ボトムアップ組織はむしろ強みを発揮できるのではないか。

:武家社会論で知られる笠谷和比古さんは、「日本の現場主義、ボトムアップは、武家社会における軍団の思想である」と指摘しています。戦場では現場が変化する状況に臨機応変に対応することが大事で、いちいち上の判断を待っていたら勝てない。その意味ではボトムアップのほうが変化には強いのではないかという気もしますね。

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