上意下達が大嫌いな日本人こそ「民主的」だ

トップダウンを強制しても成功できない理由

初めから「上意下達」とはっきり言ってくれれば、道を間違えなかったのに…(撮影:今井康一)
ボトムアップ型組織からトップダウン型組織への改革が成功した象徴的事例と称賛された日産のカルロス・ゴーン会長が、東京地検特捜部によって金融商品取引法違反の罪で逮捕・起訴された。コーポレートガバナンス・コードの導入など、さまざまなガバナンス制度改革がなされてきたにもかかわらず、なぜこのような事態を招いたのか。その前に、そもそも組織におけるトップダウン、ボトムアップの長所や短所を私たちは認識できているのだろうか。
本当に日本人は流されやすいのか』を上梓した施光恒(九州大学大学院准教授)、中野剛志(評論家)、佐藤健志(評論家・作家)、柴山桂太(京都大学大学院准教授)の気鋭の論客4人が、徹底討議する。

トップダウンは理想の統治形態か

中野:構造改革論者はよく「企業経営はアメリカの企業のようにトップダウンでなければならない」と言いますが、トップダウンというのはトップの指示に全員が黙って従うということで、つまり集団主義です。日本だと、監督による反則の指示に部員が従わざるをえなかった日大アメフト部はその典型でしょう。

柴山:ただ、本来の日本型組織は必ずしもそうではない。日本の上意下達は戦時中の軍隊文化で見られたものだけど、平時はむしろ「下意上達」で、現場の持っている知恵を上に吸い上げることを重視している。

中野:現場からのボトムアップでみんなが上に対して意見が言えるというのは、考えてみると非常に民主的で、集団主義とは正反対の統治スタイルと言っていい。

柴山:少し前の話になりますが、ロシアワールドカップ直前にサッカー日本代表のハリルホジッチ監督が解任されたのは、規律と命令に終始し、選手の言うことに耳を貸さなかったからと言われていますね。代わった西野監督は選手たちの話を聞いてやり、現場の意見を取り入れ、情に気を配ることでロイヤルティーを回復させた。それでチームが力を発揮できた。おそらく日本人には下意上達が合っているんでしょうね。

中野:上の言うことに従わなかった本田圭佑は、その意味では非常に日本人的ですね。本人は髪を金色に染めたりして「自分は非日本人的」と思っているかもしれませんが(笑)。

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