就活準備で学生はオモテの顔を磨く。志望動機やクラブ活動など、学生時代に力を入れたことを整理し、服装を整え、正しく挨拶して明瞭に話せるようにする。しかし、別の顔を見せろ、という企業もある。
カゴメではカラオケの得意曲を質問している。「カラオケで歌う曲を聞いてきた」(文系、旧帝大クラス)、「カラオケの十八番」(文系、早慶大クラス)。きっと意表を突かれたと思う。
ユニークな設問は食品メーカーに多いように感じるが、永谷園は「さびれた動物園をにぎやかにさせる方法を尋ねてきた」(文系、早慶大クラス)。学生は驚いている。
日清食品に対しても「質問が非常にユニークだった」(文系、旧帝大クラス)という声がある。設問を読むと、「あなたのすごい経験」や「今、世界中でこんなこと私しか考えていないだろうと思うこと」などと、熱い。エントリーシートの設問は似通っていて、学生は何度も同じようなことを書かねばならず、退屈している。日清食品のような設問は眠気覚ましになるはずだ。
キーエンスと日立製作所は?
最後にキーエンスと日立製作所を取り上げよう。
キーエンスに対しては、「エントリーシート自体が存在しなかった」(理系、その他国公立大)や「志望動機を全く聞かない」(文系、早慶大クラス)と、学生がコメントしている。新卒採用する上場企業では、他にあまり例はないと思う。
キーエンスは給与が高いことで有名。30代半ばの社員の給与が2000万円前後になることもあると聞いたことがある。異色の超優良企業ならではの採用手法だと思う。他社はまねをしないほうがいい。
日立製作所も印象的な企業だ。学生は「卒業論文の概要について記入する必要があった」(文系、その他国公立大)、「研究内容の項目の字数が多かった」(理系、旧帝大クラス)と書いている。
日立の設問は、
今回の調査データを読むと、エントリーシートで小論文を課す企業は、オリエンタルランドや旭化成などがある。しかし、卒業論文について質問する企業は、日立製作所だけだ。
他の企業は、部活やガクチカ(学生時代に力を入れたこと)について記載させるが、大学で学んだことに興味がないようだ。ほとんどすべての企業が卒論や研究内容に関心を持たないことを奇異に感じる。
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