神田明神が目指す「らしくない」神社の姿 神道再興に向け、新施設「EDOCCO」が担う役割
東京・外神田。電気街で知られる秋葉原から少し歩いた場所に、奈良時代に創建された古社「神田明神」(正式名称は神田神社)がたたずむ。正月の三が日には30万人もの参拝客が訪れるほか、平日でも国内外問わず参拝客でにぎわう。
正面の隨神門をくぐると、境内の左手には神社らしくない4階建ての建物が目に入る。12月15日にオープンする神田明神文化交流館「EDOCCO(エドッコ)」だ。
1階の物販エリアに並ぶのは、大黒様をモチーフにしたクッキーや神社に関する書籍。よくある土産物屋かと思いきや、傍らでは神棚や盛り塩セットが販売され、お守りやおみくじ代はSuicaやPASMOといったICカードで支払える。
2階に上がると、広がるのは着席400人、立席で700人が収容できる大きなホールだ。想定する用途はセミナーや企業の製品発表会、さらにはプロレスにアイドルのライブまで。神社によくある神事や結婚式とは程遠い。ひるがえって、地下1階では着物の着付けや和楽器の演奏、茶道など、外国人観光客を中心に日本文化を体験できるスペースが設けられている。
伝統文化の発信基地
「日本にはすばらしい伝統文化や芸能、芸術がたくさんある。だが、それらを発信する場が少ない。神社がその発信地になりたい」。神田明神の長である宮司の大鳥居信史氏はEDOCCO誕生の経緯を語る。
神田神社は2029年をもって、創建1300年を迎える。記念事業の一環として、神社が日本の伝統文化の発信地となる仕掛けづくりができないか――。大鳥居宮司は、かねてからそんな思いを抱いていた。
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