会社員が学ぶ「東大の特別講座」のすごい挑戦 ソクラテス、孔子が行った「問答形式」の実践

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いまの若者へ向けて説く、学問の「問答形式」とは(写真:PeopleImages/iStock)
AI(人工知能)の発展に伴って、「存在」や「倫理」など「人間とは何か」を問い直す問題に関心が集まるなか、東大の社会人向けプログラムにおける議論をまとめた書籍『世界の語り方』が話題になっている。
同書の編者である中島隆博氏らが、これからの大学はどうあるべきか、学問はどうあるべきかについて語る。

学問の異種格闘技

林竜也:『世界の語り方』はEMP(東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)の10周年を記念したものですが、まったく違うあり方でマネジメントが語られていると思うのです。マネジメントを学ぶのに、いわゆるマネジメントを語らずに語る。そういうフォーマットにたどり着き、しかもその完成度が増しているように見えます。

中島隆博:マネジメントをマネジメントとしてだけで捉えるだけでは通用しない時代にわれわれは入っているのではないでしょうか。ビジネスパーソンの方々は、それぞれの現場で、マネジメントを日々新しく組み直して、刷新する努力をなさっているわけですが、それだけでは足りない思いもお持ちになっていらっしゃる。マネジメントをより広い文脈に置き直してみることがどうしても必要だと感じていらっしゃる。

それは、一見すると全然違うパースペクティヴを持った人たちが、ある場所を共有して、意見を出し合い、新しい発見的な何かが生まれていくというマネジメントが必要だということではないでしょうか。

:そうですね。

中島:プログラム化された予定調和ではなく、本当に新しいものが生まれる瞬間に備えるようなマネジメントですね。でもそのためにはある種の場所を設定しなければいけませんし、何よりも意味のある問いを設定しなければなりません。そうした準備があってはじめて、ライブ感を持った新しいものが生まれてくるのでしょう。

こうしたものが今求められているマネジメントのあり方の1つかなという気がいたします。林さんには、大変ありがたいことに、そこを読み取っていただいたのだと思います。

:この本を手に取って読んでみようと思う人に対するアドバイスとしては、あまり細部にこだわらないで、速記録を眺めるようなスピードでとにかくライブ感が感じられるようなスピードで読み切る、そこに必ず何か感じるものがある、そういう体験をしてほしいと思います。

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