人生100年時代の公的年金保険改革とは何か 2019年年金財政検証のポイントを読み解く

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しかし、マクロ経済スライドは、インフレで物価が上がったときだけ行って、デフレの下では行わないというルールが決められている。このルールの下では、もしデフレが続くと今の年金受給者に予定以上の給付を行うことになってしまうので、その分、将来の年金受給者の給付水準が下がってしまう。

そこで、日本年金学会シンポジウムでは、デフレのときも例外なくマクロ経済スライドを適用して、将来世代の給付水準を高める場合の試算も行ってほしいと求めている。それが、「日本年金学会シンポジウムとりまとめ」の中でオプションⅠについて求められた「マクロ経済スライドのフル適用」という意味である(Youtube 慶應商学部権丈ゼミ年金動画2017)。

​​オプションⅡについて

厚生年金は、(1)から(5)までの条件が加入義務となっている。

(1)週労働時間20時間以上
(2)月額賃金8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
(3)勤務期間1年以上見込み
(4)学生は適用除外
(5)従業員 501人以上の企業等

厚生年金に加入していない人たちは、国民年金にしか加入することができず、老後の年金給付水準は低くなる。国民年金は、本来は、農業や自営業者を対象とする制度で、定年のある被用者(雇われている人)を対象とした制度ではない。

ところが現在、国民年金に加入している人の約4割が被用者であるという状況にある。そこで、日本年金学会シンポジウムでは、厚生年金の適用基準を雇用保険の適用基準である、

(1)週所定労働時間が20時間以上
(2)10日間の雇用契約が成立する人たちすべて

に改めた場合、どのような財政見通しになるのかの試算を、来年の財政検証で行うことを求めている。

「中小企業の負担を考慮」は正しいか

日本年金学会シンポジウムの当日に適用拡大について報告した藤森克彦氏(日本福祉大学教授)は、次のように説いていた。

今後のさらなる適用拡大を踏まえて、「従業員規模による適用対象区分の妥当性」について考えたいと思います。
現行制度では、経過措置ではありますが、「規模501人以上の企業を適用対象」としています。この要件は、「中小事業所の負担を考慮した」ものです。
確かに、重厚長大の製造業を考えると、従業員規模が小さければ生産性が低く、負担への配慮が求められることもあると思います。実際、製造業の「従業員規模別にみた、従業員1人当たりの付加価値額」は、従業員規模が小さければ、低い付加価値額となっています。
 ​しかし、サービス業の中で、短時間労働者の比率が高い「小売業」や「飲食サービス業」をみると、必ずしも従業員規模の拡大に伴って「1人当たり付加価値額」が上昇しているわけではありません。
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