「シャワーしか浴びない人」が損している理由 温泉療法専門医が考えた「疲れをとる入浴法」

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人間の体内にある「自律神経」には、積極的な活動をつかさどる「交感神経」と、体の修復をつかさどる「副交感神経」があります。仕事のストレスや緊張で興奮状態にある体は、交感神経が優位の状態にありますが、お湯に浸かってリラックスすることで、副交感神経優位の状態にスイッチが切り替わります。

現代社会は、心身への慢性的なストレスが多く、交感神経が必要以上に刺激されていますので、夜はいかに交感神経のスイッチをオフにできるかが、疲労回復のカギになります。

ヘトヘトになって帰宅した後、浴槽を洗ってお湯を沸かすのは、ちょっと面倒かもしれません。しかし、「シャワーだけで疲れがとれず、翌日までずっとだるさを引きずってしまう。そしてまた疲れて帰宅」という悪循環に陥ってしまいます。

十分な体温上昇(0.5~1℃)、血流アップによる老廃物の代謝、副交感神経への刺激。これらは、湯船に浸かってこそ得られる健康効果なのです。

疲れをとる入浴法「5つのコツ」

さて、それでは湯船に浸かるときのポイントをご紹介します。

① 温度は40℃

温度は40℃がよいでしょう。40℃までのぬるいお湯にゆっくりと浸かると、副交感神経にスイッチを切り替えることができます。

40℃は、人によっては「すこしぬるいかな」と感じる温度設定かもしれません。この温度の利点は、幅広い年齢層・体力層にとって低リスクだというところです。のぼせやヒートショックなどの体調不良を起こしにくいという安全面のほか、10~15分くらいの入浴時間でも十分に体が温まるので血液の流れもよくなり、疲労回復やリフレッシュ、体の痛みの改善につながります。

②「全身浴」で肩まで浸かる

前述のように、半身浴より全身浴のほうが健康効果は高いので、しっかり肩まで浸かることが大切です。静水圧と浮力の作用により、体の隅々にまで血液を送ることができますし、温熱効果もアップします。

注意点は2つ。いきなり浴槽に浸からないこと。まずかけ湯でお湯に体を慣らしましょう。また、心臓や呼吸器に疾患のある方はあらかじめ主治医に相談しておくことです。肩までお湯に浸かると息苦しく感じる人は無理せず半身浴にします。

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