「シャワーしか浴びない人」が損している理由 温泉療法専門医が考えた「疲れをとる入浴法」

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③ 浸かる時間は、10分から15分

入浴の際は、「長く入らなければ!」という気負いは必要ありません。10~15分で大丈夫。その代わり、毎日湯船に浸かることが大切です。これくらいの時間ならば、心身に大きな負担はかかりませんし、しっかりと体が温まります。顔や額が汗ばんでくるくらいが目安です。

万が一ちょっと息苦しいときは、自律神経のスイッチが交感神経に入っていることもあるので、浴槽から出て休んでください。心臓、血管、呼吸器に疾患がある方は注意が必要です。また、汗を流しながら我慢してお湯に浸かり続けると、入浴熱中症(のぼせ)になってしまいます。健康を求める入浴で体調を崩したら本末転倒ですので、お風呂の我慢大会は控えてください。

入浴剤を選ぶコツは?

④ 入浴剤でリラックス効果アップ!

血流アップ&疲労物質除去効果がある「硫酸ナトリウム」を含む入浴剤を使用するのもいいでしょう。近年もっとも大きなシェアを占めているのは、泡が出る「炭酸系」入浴剤です。炭酸は、皮膚から直接吸収されて血管を拡げるため、血流を改善させます。また自分のお気に入りの香りを胸いっぱいに吸い込むことで、リラックス効果を高めることができます。

『最高の入浴法~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

入浴剤を選ぶひとつの目安としては「医薬部外品」と「浴用化粧品」を選ぶことです。この2つは、安全性と有効性について国の医薬品医療機器等法による規制を受けていますので、安心して使うことができます。

⑤ 入浴後は、温熱効果を逃がさない!

お風呂から出た後は、裸でのんびりするのは厳禁。早めにタオルで水分をふき取り、毛布や布団にくるまりましょう。お風呂で汗をかいた後、扇風機や冷房で涼むのは、基本的にNGです(のぼせてしまった場合は別)。せっかく温まった体が冷めてしまい、血流のよい状態がすぐに終わってしまいます。

毎日湯船に浸かることは、働く現役世代から、ご高齢の方まで、幅広い世代に有益です。私たちのチームが行った最近の研究でも

・毎日の入浴が、要介護リスクを減少させる
・毎日の入浴習慣がある人は、幸福度が高い

など、さまざまな健康効果が明らかになっています。

健康法としての入浴のすばらしいところは、「安価」で「手軽」だということでしょう。現代では浴槽がない家庭は少なくなってきていますので、毎日気軽に実践することができます。手軽かつ安価で、毎日無理なく実践できる、最高の健康法。それが入浴なのです。

早坂 信哉 温泉療法専門医、博士(医学)、東京都市大学人間科学部教授

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はやさか しんや / Shinya Hayasaka

1993年、自治医科大学医学部卒業後、地域医療に従事。2002年、自治医科大学大学院医学研究科修了後、同大学医学部総合診療部、浜松医科大学医学部准教授、大東文化大学スポーツ・健康科学部教授などを経て、現職。一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長、一般社団法人日本銭湯文化協会理事、日本入浴協会理事。生活習慣としての入浴を医学的に研究する第一人者。著書に『最高の入浴法』(大和書房)、『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)など。

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