生産年齢人口(15~64歳)は戦後一貫して増加を続け、1995年の国勢調査では8726万人に達しましたが、その後減少局面に入り、2015年の国勢調査によると7728万人となっています。さらに、2040年ごろには約6000万人まで落ち込みます。そして2053年には、総人口が1億人を割って9924万人になる見込みとなっています〔国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2017年推計)より〕。
一方、老年人口(65歳以上)はこれから団塊世代が次々と高齢化していくため、どんどん増え続け、2042年でその数3935万人とピークに達します。生産年齢人口が急激に減り始め、老年人口が増え続ける今後20年余りが、日本にとって最も厳しい時期と考えられます。
膨らむ社会保障費
ここで社会保障費に目を向けてみましょう。社会保障給付費の対GDP比は2018年の21.5%(名目額121兆3000億円)。2040年度には23.8~24%(同188兆2000億~190兆円)にハネ上がることが予想されています(「2040年を見据えた社会保障の将来の見通し」内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省 2018年5月21日)。これだけ生産年齢人口が減っていくにもかかわらず、約67兆円も社会保障給付費が増えていくというシビアな現実があります。
社会保障費は、国民から税金や保険料という形で集められています。企業も社会保険に加入している従業員の社会保険料を折半して負担しています。日本の財政状況を考えれば、65歳を超えても元気であれば、受け取る側でなく支払う側に1人でも多く回ってもらいたい、と考えても不思議ではありません。むしろ、そうしなければ立ち行かなくなる現実が突き付けられているのです。
法律改正によって60~64歳の就業者が増えた実績などを踏まえても、70歳まで働くことを想定した実行計画は着々と進められていくでしょう。ただし、高齢者の雇用を手厚くするあまり、現役世代にしわ寄せがいくようであってはモチベーションが下がるばかりで、企業側も難しい舵取りが迫られていると言えます。
もちろん、高齢者の希望や健康状態もあるので、働くことを強いることなどできません。現行の65歳雇用についても、あくまで「本人が希望すれば」雇用の機会があるという話です。
最終的には、私たち一人ひとりの問題です。どのような働き方をしたいか、どのような引退が理想か。変化の激しい時代にあって、長期的なビジョンは立てにくいものですが、人生100年時代を見据えて、日々自分に問い続けたいものです。
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