渡米16年、34歳の彼女がNYで踊り続ける理由

日本を離れてみたからこそ好きになった

一方でその2年後、タカエさんはアーティストビザの失効が目前に迫っているにもかかわらず、次のスポンサーが決まらず、1度は帰国を決意。お世話になった人たちに帰国のあいさつ回りをしていたが、それを聞いた友人が、「まだニューヨークで頑張りたいなら」と、スポンサーを紹介してくれ、アーティストビザを更新。さらなる挑戦が始まった。

タイムズスクエアで和太鼓グループ『COBU(鼓舞組)』のツアー公演の様子(撮影:タカエさん)

次の転機は、生徒として通っていた和太鼓グループ『COBU(鼓舞組)』のディレクターに、「ツアーに欠員が出たのでついてこないか」と誘われたこと。タカエさんは、以前から憧れていたヨーロッパでの公演にも参加。その後、COBUのメンバーとして地元・室蘭での公演も成功させ、「かわいがってくれていた祖父母、親戚や家族にも恩返しができた」と喜ぶ。

現状に満足して立ち止まったら負け!

タカエさんは日本よりもニューヨークは「職業としてのダンサーの地位が認められている」と言う。

「ブロードウェイ俳優の待遇のよさは別格だとしても、そうでなくても、いくつか仕事を掛け持ちすれば、食べていくことも可能です。映画のエキストラ、歌手のバックダンサー、小さいバレエカンパニーのオーディションなど、チャンスはたくさんあるので、夢を見続けることができます」(タカエさん)

「挫折を感じることはありますか」という筆者の質問にはこう返答してくれた。

「挫折なんて感じていたら、ニューヨークではやっていけません。オーディションに落ちても、自分が悪かったと思うのではなく、役が自分に合っていなかったと思って、前をみて進むのみです。そもそも、生きるのに必死で、挫折している暇もないので」(タカエさん)

とはいえ、アーティストにとって、ビザを保持し続けることは簡単ではない。タカエさんの周りでも、とりあえずニューヨークに来てみたけれど、何もつかめずにアーティストビザが切れるタイミングで帰国してしまった日本人は多いという。

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