情報公開制度は誰もが使える身近な「武器」だ

毎日新聞記者が目指す「協働」ジャーナリズム

情報公開請求の手順について説明する日下部聡記者。特定秘密保護法と内閣法制局に関する特ダネは、素朴な疑問と情報公開請求から生まれた(撮影:尾形文繁)
森友・加計問題で明らかになった公文書のずさんな管理。毎日新聞の日下部聡記者は10年以上前から情報公開請求で入手した公文書を手掛かりにいくつもの特報を手掛けてきた。11月に上梓した『武器としての情報公開』(ちくま新書)では、情報公開請求は市民に広く開かれたものであることを強く訴えている。市民と協働のジャーナリズムを目指す日下部氏に聞いた。

――15年前、『サンデー毎日』記者のときに情報公開請求をつかった調査報道で石原慎太郎都知事(当時)の税金の使い道を追及しました。

まったく足場や人脈がないところから「とりあえず何か調査報道をやれ」と編集長に言われて、困った揚げ句始めたことでした。最初おっかなびっくりで行きましたが「こういう書類がありますよ」と担当の都職員が懇切丁寧に教えてくれた。

情報公開制度があることは知っていましたが、「数字のデータみたいなのしか出てこないのでは」「個人名もみんな黒塗りになっているのでは」という印象がありましたが、想像以上に具体的な情報が含まれていました。

たとえば交際費を使った相手の名前や、何日にいくら使って、どこで接待したか、どんな銘柄のお酒を頼んだかまで出てきた。データという面でも貴重ですけれども、それ以上に取材の取っ掛かりになる情報がたくさん盛り込まれていて、とても驚きました。

情報がないことがニュースになる

――特定秘密保護法の原案段階で「法案の必要性が弱い」という議論が政府内にあったことが2014年に、そして内閣法制局が憲法解釈を変えたときの審議過程の資料が残されていなかったことが2015年に明らかになりました。両方とも日下部さんの情報公開請求が端緒でした。

内閣法制局についていうと、当時の長官が「(法制局内に)反対意見はなかった」と国会で答弁したニュースを読んで「本当かな?」と思ったのを、情報公開請求でどこまでわかるかちょっと試してみたいと考えたところが始まりです。特定秘密保護法もそうですが、権力を打倒してやろうとか、そういう動機から調べ始めたわけでありません。

――その疑問が、憲法解釈の変更を検討した記録がなかったという特報に結び付きます。

石原都政の報道をしたときの「気づき」が続いていました。請求したが、ほとんど記事になる材料が出てこない。「何もない」とわかったときに「ネタにならなかった」とするのではなく、「情報がないことのほうがおかしいのではないか」という気づきです。

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