情報公開制度は誰もが使える身近な「武器」だ 毎日新聞記者が目指す「協働」ジャーナリズム
――15年前、『サンデー毎日』記者のときに情報公開請求をつかった調査報道で石原慎太郎都知事(当時)の税金の使い道を追及しました。
まったく足場や人脈がないところから「とりあえず何か調査報道をやれ」と編集長に言われて、困った揚げ句始めたことでした。最初おっかなびっくりで行きましたが「こういう書類がありますよ」と担当の都職員が懇切丁寧に教えてくれた。
情報公開制度があることは知っていましたが、「数字のデータみたいなのしか出てこないのでは」「個人名もみんな黒塗りになっているのでは」という印象がありましたが、想像以上に具体的な情報が含まれていました。
たとえば交際費を使った相手の名前や、何日にいくら使って、どこで接待したか、どんな銘柄のお酒を頼んだかまで出てきた。データという面でも貴重ですけれども、それ以上に取材の取っ掛かりになる情報がたくさん盛り込まれていて、とても驚きました。
情報がないことがニュースになる
――特定秘密保護法の原案段階で「法案の必要性が弱い」という議論
内閣法制局についていうと、当時の長官が「(法制局内に)反対意見はなかった」と国会で答弁したニュースを読んで「本当かな?」と思ったのを、情報公開請求でどこまでわかるかちょっと試してみたいと考えたところが始まりです。特定秘密保護法もそうですが、権力を打倒してやろうとか、そういう動機から調べ始めたわけでありません。
――その疑問が、憲法解釈の変更を検討した記録がなかったという特報に結び付きます。
石原都政の報道をしたときの「気づき」が続いていました。請求したが、ほとんど記事になる材料が出てこない。「何もない」とわかったときに「ネタにならなかった」とするのではなく、「情報がないことのほうがおかしいのではないか」という気づきです。
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