「恋愛スキルゼロ」44歳男性の実直すぎる婚活 映画「モテキ」を見て「俺にもできるんじゃ」

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信一郎さんの実家には姉夫婦が母親と一緒に住んでいる。近くのアパートで一人暮らしをしていた信一郎さんが直美さんを連れて行くと、特に母親は「この子がやっと女性を連れて来た!」と大喜びをしてくれた。かつての母子癒着は時間をかけて解消されていたのだ。

直美さんの家族にも良い変化があった。仕事を辞めて自宅に身を寄せていた23歳の息子が、「立派な社会人」である信一郎さんに刺激を受けているようだ。

「私は仕事と信一郎さんとのデートで家にいないことが多いので、おばあちゃんが息子の世話をしてくれています。でも、信一郎さんと会うようになり、『自分も大人なのでしっかりしなくちゃ。だらしないと恥ずかしい』と思い始めているみたいです」

家族単位での展望

今後の展望もある。直美さんがリーダーとなり、真面目で優しい信一郎さんと自営業が好きな母親、そして本人が希望するならば息子も加えて「チーム」となり、いろんな事業をやってみることだ。連帯感を持って働く過程で暮らし方も変わっていき、信一郎さんと直美さんが一緒に生活できる日も来るに違いない。信一郎さんは晴れやかな表情で言い切る。

「直美さんとは一緒にいて楽しいです。そして、エネルギーがあって人脈を作る力がある女性だと思います。ずっと仲間にしておきたい人なんです」

物欲しげな顔をしている筆者の気持ちを推察したのだろう。最後に、直美さんが付け加えた。

「私たちは大宮さんというキーワードで仲良くなったんです。大宮さんがいなかったら、2人でごはんに行くこともなかったと思います」

さすが人を惹きつけるリーダーである。2人が揃ってスナック大宮を再訪してくれるときは、猫町倶楽部に習って「夫婦割引」を適用する予定だ。いつでもお待ちしております。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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