世界を変えた「アメリカ製造業」たちの現在地 米国四季報で読み解くアメリカ優良企業

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アメリカの製造業は多くの業種で競争力を失っていった面は否めないが、航空・軍需産業はいまだに圧倒的な優位性を保っている業種の1つだろう。

代表格がボーイング(BO)だ。1997年にマクドネル・ダグラスを買収し世界最大の航空機メーカーとなり、現在、民間航空機分野では仏エアバス社と市場を二分している。かつてはB747ジャンボ機が主力だったが、現在ではLCCの増加などで小型機の需要が増えていることから、B747の生産から撤退することが決まっている。

軍用機ではF15やF/A18スーパーホーネット戦闘機、軍用ヘリAH64アパッチ(いずれも旧マクドネル・ダグラス社開発)などがある。このほかロケットエンジンや防衛システム、人工衛星なども手掛けており、直近は衛星ソリューションなど宇宙事業の拡大に注力している。

軍需産業ではどうか

軍用機ではロッキード・マーチン(LMT)が最大手企業だ。日本ではその名前は田中角栄首相が逮捕されたロッキード事件で知られている。旧ロッキード社は1981年に民間機事業から撤退し、その後は1993年にゼネラル・ダイナミクス(GD)の戦闘機部門を買収、1995年にマーチン・マリエッタと合併し、現社名となった。2015年にはユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)傘下のヘリコプター製造部門シコルスキーを買収するなど、軍需部門のさらなる強化を図っている。

前段で登場したゼネラル・ダイナミクスは、ビジネスジェットのガルフストリームを傘下に持ち、祖業の潜水艦、戦車や装甲車などの軍用車両、政府機関向けや軍事用のITサービスを手掛ける。2018年2月に同業のCSRA社を買収し、ITサービス部門の一段の強化・拡充を狙っている。

ユナイテッド・テクノロジーズは、航空機やロケットエンジンのプラット・アンド・ホイットニー、空調・セキュリティのUTCクライメイト、民間航空機向けシステムのUTCエアロスペース、エレベーターのオーチスの4事業で構成されている。2017年9月に航空機の電子機器や通信・管制システムなどを政府機関や民間企業に提供しているロックウェル・コリンズ(COL)の買収を発表、まもなく完了する見込みだ。

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