世界を変えた「アメリカ製造業」たちの現在地 米国四季報で読み解くアメリカ優良企業

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最後にゼネラル・エレクトリック(GE)にふれておきたい。発明王エジソンの電気照明会社に起源を持つ同社は、1980年代に伝説の経営者と呼ばれたジャック・ウェルチのもと、M&Aを駆使し急拡大した。発電、エネルギー、航空、輸送機器、ヘルスケア、金融など幅広くグローバルに事業展開してきた。だがリーマン・ショックで大きな打撃を受け、以降は創業以来の主軸だった家電部門、金融部門、石油・天然ガス部門などを相次いで売却した。

依然としてアメリカには世界有数の企業がある

ニューヨーク株式市場の指標として1896年から算出されているダウ工業株平均株価は日本のニュースでもおなじみだ。周知のとおり、各業種の代表企業30社で構成されており、時代に合わせて銘柄を入れ替えてきた。そんな120年を超える歴史の中で、GEは唯一、算出当時からずっと構成銘柄に名を連ねてきたが、2018年6月に、ついに外れた。

アメリカは、言わずと知れた世界最大の経済大国で、そのGDP規模は2017年で19.5兆ドル(名目、2017年末の為替レート1ドル=113円で換算すると約2200兆円)と、日本の4倍に達する(日本の名目GDPは546兆円)。このうち製造業の比率は1950年代から一貫して下がり続け、2017年ではわずか11%にすぎない(日本は21%)。

それでも、それぞれの業種において世界有数の企業が存在する。企業同士が合併し、事業の一部を切り離したり買収したり、絶えず変化を繰り返している。新しい企業も誕生し、力をつけてきている。

そこはやはりアメリカ。衰退しているといわれて久しいが、必ずしもそう断言できない姿が見えてくる。

加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

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かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

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