英語「マネー」の美しくも何気に意味深な語源 今日誰かに話したい金融英語の語源

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この女神は別名 Juno Moneta といい、その神殿で貨幣が鋳造されたことから moneta が「貨幣鋳造所」転じて「貨幣」を意味するようになったのです。現在、英語では「貨幣鋳造所」のことを mint、「貨幣」が money となったのです。

money の形容詞「 monetary(貨幣の、通貨の)」はよく見る言葉で、International Monetary Fund(国際通貨基金=IMF)はよく知られています。

「ロンダリング」のもう1つの意味とは?

ところで、この moneta というラテン語は 「monere(警告する)」という動詞の過去分詞から生まれました。monere は意外な単語を英語にもたらしています。1つは「モニター」という日本語になっている monitor で、機械としては「監視装置」、人間としては「何かしらの商品などについて感想などを提供する人」を意味しますね。

もう1つは「怪物」の「モンスター(monster)」 です。昔は「奇怪な怪物は神の警告」と考えられたため、「警告するもの」ということで monster が怪物の意味になったのでした。この形容詞 「monstrous(奇怪な、途方もない)」もよく使われる語です。

裁判の関係でよく使う 「summon(召喚する)」という語がありますが、これは sum-(下へ)という接頭辞に monere がついた動詞で、名詞は 「summons(召集、召喚)」です。

さて、 laundering はもちろん、「洗濯する(launder)」 の動名詞ですが、俗語で「不正なお金の出所を隠すため外国の銀行などを移動させる」という意味があるのです。この launder の名詞形が 「laundry(ランドリー、洗濯屋)」です。

これらの語はラテン語の「lavare(洗う)」にさかのぼり、兄弟としては「lava(溶岩)」「lavatory(洗面所)」「lavish(雨のどしゃぶり)、浪費する(形容詞)」などがよく使われる語です。もう1つ、ラテン語のlavare の過去分詞 lotus からできた語が「ローション(lotion)」です。

猪浦 道夫 翻訳家、ポリグロット外国語研究所代表

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いのうら みちお / Michio Inoura

1983年、イタリア国費留学生としてローマ大学留学。1986年、東京外国語大学大学院(ロマンス言語学研究科)修了。1989年に、株式会社ポリグロットを設立し、50カ国語の翻訳および20カ国語の語学研修事業に従事。1991年以降は、野村證券、旧日本興業銀行、ブリヂストン、キヤノン、ソニーなど、一部上場企業で、海外赴任者向け語学研修講師を務め、大好評を得る。2000年以降は、7カ国語のカリスマ語学教師として、「TVG(超速習)セミナー」など膨大な数のセミナーを個人学習者向けにも主催し、門下からはポリグロット(複数言語翻訳者)を多く輩出している。主な著書に『13カ国語トラベル会話』(共著、カルトブルー)、『3語で話せるスペイン語会話』(サンマーク出版)、『語学で身を立てる』(集英社)など。

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