――着任してやるべきことは?
鈴木:2020年のシリーズが、BCJの創立30周年にあたり、さらにはベートーヴェンの生誕250年のメモリアルイヤーになりますので、そこでは充実したものを作りたいと思っています。同時にBCJがこれまでの28年間に行ってきた“バッハのカンタータを中心とした世の中への発信”。その姿勢を変えずに、さらに大きなウエーブを繰り出せるようなグループにしていきたいと思います。
2020年からの10年間ということでしょうか。そこで何が起こるのかを今まさにイメージしているところです。何にしても、カンタータはBCJの中心を成すものですので、そこから離れてしまうことは絶対にありません。仮に集客が難しいとしても、カンタータは絶対に演奏し続けるのがBCJのポリシーです。その意味では、モーツァルトの「レクイエム」でオペラシティが満席になるのもいいのですが、どちらかと言えば、誰も知らない「教会カンタータ」を演奏して1000人、2000人の聴衆が集まるグループでありたいと願っています。
世界と渡り合うために必要なコミュニケーション力
――“世界最高峰の古楽アンサンブル”と評価され、世界と渡り合える理由とは?
鈴木:世界と渡り合うためにはコミュニケーション力が必要だと思います。世界中の人と音楽の話をするために出掛けていって演奏をしたいと思うかです。その思いの強さに関してBCJは日本一だと確信しています。どこにでも行きますよ。
メキシコにもクロアチアにも行きましたけど、遠かったなあ(笑)。受け入れ側の意向もありますが、経済的にどんなに苦しくても誘いはなるべく断らないというのが大前提です。鈴木雅明が常々言っていることは「演奏家は出向いて行って演奏しないと仕事にならない」ということです。出向くことはとても大事なのです。イスラエルにも何度も行きましたし、北朝鮮にだってお呼びがあれば行きますよ。ただしBCJが聖書以外の音楽をやるのは難しいんですけどね(笑)。
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