批判・評論家タイプには、かつては出世ルートに乗っていると自分では思っていたものの、どこかで挫折した経験のある社員が少なくない。その挫折のことを、上司や会社のせいにして自分本位の物語を作り上げている社員もいる。「あのときの上司に嫌われたので左遷された」「あの不祥事の責任を俺ひとりが負わされた」などである。しかし彼がこだわっているほど、上司や人事部はその件を気にしていないケースが多い。
ある小売業のクレーム処理の責任者から聞いた話では、店内で大きな声を出して苦情を申し立てる客には、大手企業の元管理職が多いという。このタイプとどこかで共通点がありそうだ。
批判・評論家タイプも、ヨイショして機嫌よくやってくれるのであれば、そういう手立てでいいだろう。こちらの気苦労も少なくてすむ。
ただ、彼らの言動によって自分たちの無駄な仕事が増えたり、円滑な業務の進行が妨げられたりすることがあれば、対応策を検討する必要がある。上司と相談して、一定のルールを作って彼に申し渡すとか、権限を取り上げる措置なども必要になろう。批判・評論家タイプは、攻撃は得意だが、守りは弱い人が多い。口は達者でも社内で権限を持っているわけではないので、淡々と対応策を進めればいいだろう。
3.団体行動タイプ
今まで紹介してきた「無気力タイプ」や「批判・評論家タイプ」のオジサンは少数派で、大半の中高年社員は、自分では仕事をやっていると思っているし、仕事をしているフリをするのがうまい。ただ、もはや会社から期待されていないことは本音ではわかっている。そのため仕事への達成意欲やこだわりが薄れ、職務範囲だけを無難にこなせばよいという自分本位の姿勢になっている。
一人ひとりは周囲の評価や評判を気にしているので、普段は目立たない。しかし、会社の仕事には意味を感じていないので、何人かが集まると気になる存在になることがある。
仲間同士の昼食で1時間以上食事を取ったり、仕事中にも無駄話が多くて、その内容もプロ野球やテレビで報道されていることばかり。また普段は、外出がちでどこで何をしているのかわからないのに、人事権を持った部長などが事務所に来るときには必ず席に着いており、そこで自分をきっちりアピールする。「団体行動タイプ」と言っていいだろう。
子会社に出向してきて、すでに転籍になっているのに、出向元の部長の意向ばかりうかがっている社員も、このタイプに入る。
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