「嗅ぐ力」と「ダイエット・健康」の密接な関係 ピル服用中に付き合った相手とは別れる?

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老いも若きも「嗅ぐ」という能力を、もっと有効に活用すべきだ(写真:Fast&Slow / PIXTA)
においを嗅ぐ能力(嗅覚)は、20代から衰えだし、中高年で急激に衰えていくことをご存じだろうか? 嗅覚は比較的地味な感覚で、その衰えは視覚や聴覚より見過ごされがちだが、近年の研究によると、においを嗅ぐ能力こそが、肉体や精神の「健康」や「アンチエイジング」に大きく影響すると判明してきているのだ。
自らが45歳のときに脳動脈瘤が見つかり、死を身近に感じる経験をした香りのプロ(調香師)が、「におい×健康」というテーマで多くの研究論文や資料にあたって執筆・上梓した書籍が『最新論文等から香りのプロが考案! 嗅ぎトレ 認知症・ガン予防やダイエットにも!“ながら”嗅ぎで、心と体のアンチエイジング』(KADOKAWA)だ。本稿では、その著者である荘司博行氏が、健康や若さを維持するために、体への負担がかかりにくく手軽な「においを嗅ぐ」健康法、名付けて「嗅ぎトレ」を紹介する。

人間、年を取ると「小さい文字が見えづらくなったなぁ」「うちの親、耳が少し遠くなったかもなぁ」など、視覚・聴覚の衰えには気づきやすいものです。では、「においを感じる力」、つまり嗅覚に関してはどうでしょう? 「最近、自分は(あるいは、うちの親は)嗅ぐ力が弱くなったかも」なんて気づく人がどれだけいるでしょうか?

「嗅ぐ力」に関しては、そもそも意識にのぼることがほとんどないため、仮に気づいたとしても、「そんなに気にしなくても害はないだろう」と思いがちです。しかし、この「嗅ぐ力」こそが、“あなたの健康寿命に関係する”と知ったら、今日からご自身や親御さんらの「嗅ぐ力」が気になりはしないでしょうか? あなたの若さを保つのにも、ダイエットを実現するのにも、記憶力を高めるのにも、「嗅ぐ力」が大いに役立つとしたら、どうでしょうか? まさか、と思う人のほうが多いでしょうね。

「嗅ぐ力」と死亡リスクとの関係性

「嗅ぐ力」と「認知症」との関係性に関しては、近年メディアでも取り上げられてきているので、気になっている人も少なくないでしょう。

でも、実は認知症だけではなく、「嗅ぐ力」が「死亡リスク」と関係していることを示す、ちょっと怖い研究結果もあります。

スウェーデンのストックホルム大学の教授(研究者の所属・職階等は原則、研究当時のものです。以下同)らが、40歳から90歳までの1774人(平均63.5歳)の被験者に嗅覚テストをおこない、その後、その人たちを10年間追跡した研究があります。追跡した10年間に、1774人のうちの411人(全体の23.2%)が亡くなったのですが、55歳を超えると明確に「嗅ぐ力」が衰えることがわかったうえ、わかるにおいが1つ減るごとに死亡リスクが8%増加していることがわかりました。そして、嗅覚に障害があると、死亡率が30%も増加するとわかったのです。嗅覚の低下と死亡リスクの関連性が、はっきり数値で表われたわけです。

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