スバル「XV」ハイブリッドは一体何がスゴいか モーターのアシストで走りは円滑、燃費向上

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通常のエンジン始動はセルによって行われる(筆者撮影)

だから比べると、たとえばメルセデス・ベンツCクラスのBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)などは、スタータージェネレーターが通常のエンジン始動、アイドリングストップからの復帰を含むエンジン再始動、そしてモーターとしてのパワーアシストとエネルギー回生を1つに集約している。そしてこれを48Vですべて賄っているわけだ。

モーターのアシストを感じる走りが魅力

そうした効率はさておき、XV Advanceの走りは先に登場したフォレスターAdvanceよりも、ハッキリとモーターのアシストを感じる走りが魅力だ。

最大の理由はこのXV AdvanceがフォレスターAdvanceより約90kg車両重量が軽いことにある。それだけにわずか65Nmを発生するモーターでも、停止から発進するようなシーンや、アイドリングストップからの再始動や、そして加速時のアシストなど、あらゆる面でフォレスターよりも“電化”している感覚をモーターのフィーリングから感じ取れる。

電動駆動が加わったことでアイサイトの反応は向上した(筆者撮影)

今回は実際に街中、高速道路、ワインディングとさまざまなシーンで走らせてみたが、こうしたときにエネルギーフローのモニターを見ていると、e-BOXERはかなり頻繁にリチウムイオンバッテリーに電気の出し入れをしていることがわかる。バッテリーの容量は1kWと小さいため、上りなどで長く踏み込むとすぐになくなるが、逆に下り坂などではすぐに回生して満タンになる。

また、「良いな」と思えたのはアイサイト・バージョン3との親和性の高さである。XVはまだ「インプレッサ」などが採用しているアイサイト・ツーリングアシストになっていない点は残念だが、e-BOXERによる電動駆動が加わったことでアイサイトの反応は向上した。

たとえば、前走車に追従して走行している際に、当然ながら前走車は一定のスピードで走っているのではなく、交通の状況に応じて加減速するわけだが、アイサイトはこれをカメラで見て前走車の動きに合わせて加減速を行う。そうしたときに、内燃機関だけのモデルでは、前走車が減速して自車が減速し、前走車が再加速するような状況で確実に1テンポ、いや2テンポくらいはタイムラグがあって自車の再加速が始まる。

これは前走車が再加速したことをカメラが認識して、そこから加速をすると判断し、アクセルを開ける信号を出してこれをエンジンが受け取って回転が上がり、そして実際の加速となる……という一連の動きがあるためだ。しかしながら、e-BOXERの場合はこうしたシーンで、エンジンの回転が高まるよりも先にモーターが即座に力を発揮して加速が行われる。そしてここに回転の高まったエンジンの力が後から付いてくるので、これまでのようなタイムラグが解消されるのである。

フォレスターのe-BOXERをしのぐ反応(筆者撮影)

もちろんこの理屈は同じe-BOXERを搭載するフォレスターAdvanceでも同じであるが、やはりこうしたシーンでもXV Advanceのほうが軽量なだけあって、よりキビキビ反応するところがフォレスターのe-BOXERをしのぐ。

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