さらにXV Advanceではハンドルの右スポーク根元に「エコクルーズ」ボタンが設置されており、これを押すことによってEVモードの領域が通常の40km/h以下から80km/h以下へと範囲が拡大する。またエアコンの制御を行い、温度設定をやや緩慢にしてコンプレッサーの作動を低減。さらに追従時の加減速を穏やかにするなどして燃費を向上させるのだ。
スバルの"電化"の将来
今回、XVにe-BOXERが搭載されたことによって、スバルは現状の“電化”にはひとつの答えを出しているが、今後はさらに高効率が求められるのも事実。しかしながら、将来に関しても先日、ひとつの提案を行った。
それが先日開催された「第31回国際電気自動車シンポジウム・展示会」(略称:EVS 31)に出展したプラグインハイブリッド車のプロトタイプ。これは同じXVをベースとしたもので、搭載エンジンは2.0Lの水平対向4気筒と変わらないものの、その後ろに与えられるトランスミッションが新しいものとなっている。これはトヨタのTHSをベースに開発されたもので、2つのモーター/ジェネレーターを搭載するものとなっているのだ。
ちなみにトヨタのTHSを搭載するプラグインといえばプリウスPHVだが、このモデルのスペックを見るとモーターは最高出力72ps、最大トルク163Nmを発生する。ここから予測するに、XVのプラグインでも、かなり力強いアシストが実現されると同時に燃費の向上効果も大きいだろう。
このモデルに関して詳細は明らかにされていないが、すでに年内にアメリカでの発売が決まっていると言う。もちろんこれは、今後厳しくなるアメリカでの環境規制に対応するための策である。では、このプラグインが日本導入されるのか? 現時点では、日本への導入予定はないと言われている。
スバルは今年の7月に出した中期経営ビジョン「STEP」の中で、2020年以降に新設計のダウンサイジングターボを投入することを明らかにしており、またその先でEVのグローバル投入や新ハイブリッドを順次投入とうたっている。が、具体的なのはダウンサイジングターボで、ここにはまだハイブリッドの話は見えてこない。
しかし日本市場においても周りがSUVにもハイブリッドを続々投入している状況であり、特に燃費という点においてはスバルのプロダクトは厳しい状況にあるのも事実。
それを少しでも払拭するために、フォレスターやXVにe-BOXERを搭載したAdvanceを用意しているのだろうが、これはあくまでもモーターが動力性能を補完しているものであり、プロダクト的には魅力的に仕上がっているものの、今後求められる燃費向上への抜本的な解決を図るための切り札とは言えない。
さらに今後のスバルのプロダクトを考えた場合には、特にこれまで以上にパワーソースが重要になってくるのも事実。今後も水平対向エンジンを用いていくならば、現時点で将来的に投入予定のダウンサイジングターボは当然として、現状よりもさらなる“電化”と“低燃費化”が求められるわけで、そこにはプラグインハイブリッドシステムやそれ以上の進化が必須だといえる。
特にここ最近の自動車の動向を見ていると、わずか数年で急速に市場が拡大する傾向にある。たとえばSUV市場なども、この数年で急速に広がった。そうしたケースを見ていると、最近はさまざまなカテゴリーでの電化が進んでおり、欧州を中心にマイルドハイブリッドの波が大きくなりつつある。それはつまり、今後はピュアな内燃機関ではなくプラスαの電化された新世代パワーソースが増えていく流れである。そしてこうした流れも何かをきっかけに、一気に大波となって押し寄せる可能性はある。そうしたことを考えても、筆者としてはXVのプラグインのようなプロダクトは日本市場で展開してもいいのではないかと思うのだが……。
とはいえ今後のスバルの電化については、注意深くウォッチしていきたいと思う。
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