「アメとムチ」は実は人のやる気を破壊する

「営業成績が下がったら××」の脅しは逆効果

「営業成績が下がったら××」「言うことを聞かなかったら××」などと言われても、ギリギリの水準は確保しようとしても、それ以上に頑張るのは損だと思うのでしょう。

このように見てくると、アメとムチを使えば、目先のことはなんとかクリアできても、それを繰り返していては人生に満足することはできないのです。長期的にやる気を継続させ、生き生きとした意欲に満ちた人へと導くには、アメとムチは不向きなのです。

壮大なスローガンはなぜピンとこないのか

では、心の底からのやる気を促すにはどうすればよいでしょうか。

まず大事なことは、目標を設定することです。ただし、その目標の内容によっては、かえってやる気を失ってしまうこともあります。目標を設定する際には、相手の心を動かすような適切なレベルを考慮しなければならないのです。

人がやる気をなくす目標とは、はるか遠くにある大きすぎる目標のことです。たとえば、小学生に「追い越せ野口英世!」「目指せ世界標準!」、社員に「グローバル展開に心をひとつに!」「100億円企業へ!」など、途方もなく大きく、そしてざっくりとした目標だけを唱えさせているようなケースです。

確かに、大志を抱くことは美しいし立派であることに違いありません。ただし、注意を払わなければならないのは、それが心にとって大変な負担となることです。大きな目標だけを与えていたら、かえって相手のやる気をどんどんそいでしまいかねないのです。

マウスを使った実験によっても、そのことは証明されています。電気ショックを受けているマウスについて、

① スイッチを1回押せば電気ショックが止まるグループ
② 何をしても電気ショックが止まらないグループ
③ スイッチを8回押さなければ電気ショックが止まらないグループ

の3つのグループに分けて、そのストレス度を観察しました(解剖して胃潰瘍の大きさを測定)。

いちばんストレスが高かったのは、②の「何をしても電気ショックが止まらないグループ」と思われがちですが、実は③の「8回押さなければ電気ショックが止まらないグループ」でした。

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