この時期の安倍訪中をどう評価していいのか――。
安倍晋三首相が訪中し、10月26日、習近平国家主席および李克強首相と会談した。ここ数年間、重苦しい雰囲気が漂っていた日中関係だが、一変して北京の秋にふさわしい晴天となった。
習主席は「日中関係が正常化したことを喜び、さらなる発展を推し進めていこう」と発言。一方で安倍首相は、「競争から協調」に進み、互いに「脅威」とならず、および「自由で公正な貿易体制」を進化発展させることを強調、さらに「新たな時代を習主席とともに切り開いていきたい」とし、日中両国は「ウィン・ウィン・ウィン」の関係になれるとも語った。
経済協力をアピールした中国メディア
安倍首相と李首相は幅広い分野での協力強化に合意。また第三国での民間経済協力について52本の覚書が交換されたことを歓迎した。
日中関係の協力的側面を強調する中国メディアの報道もがぜん多くなった。日本が中国の経済発展のため供与してきた政府開発援助(ODA)については、かねてより、中国政府は感謝を公に表明していないなどと指摘されることがあった。だが今般、中国メディアは、日本のODAの功績を認める記事を掲載し始めた。中国政府がメディアに対して、日中友好を強調する方向で”記事化してよい”と許可した結果である。
今回の合意については、目新しいことは少なかったともいわれるが、日中関係が改善され、多くの協力案件を進めることが合意されたのは安倍訪中の成果だ。中国に滞在、あるいは中国で事業を展開する日本人や日本企業にとって、両国が良好な関係に戻ったことがいかに重要な意味を持つか、かつて中国に滞在したことがある筆者は肌身で感じることができる。
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