「自宅にあった紙の本の冊数」が一生を決める 本の数の国別ランキングで日本は12位

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ただし、これら自宅の本を必ずしも読めなければ効果がないというわけではなく、また単純に「本を読む」という行為によりこうした能力が伸びるというわけではなく、何が利点になっているのかを特定するのは難しいと研究チームは話す。「ただ本をたくさん読みなさい」というシンプルな話ではなく、大切なのは「子どもたちが、親や他の人たちが本に囲まれている様子を目にすること」だとしている。

ただし今回のテスト結果は、大人になってどれだけ本を読んだかとは無関係なので、今から慌てて読んだ場合の効果は不明だ。

「本好き」の国別ランキング、日本は?

この調査では16歳の時にどれだけ書籍が自宅にあったかを国別のランキングも出している。最も本好きの国はエストニアで、平均は218冊。350冊以上だったと答えた人は35%に上った。

日本は平均102冊で、世界全体の平均を含む18カ国・地域のランキングで14位だった。世界全体の平均は115冊。

研究者らは、本がもたらす利益は世界的に一貫しており、教育水準や、大人になってからの仕事、性別、年齢、両親の教育水準とは無関係だったとしている。データが最も詳細にわたって取れたオーストラリアを例にとっても、裕福さやIQ、学校の成績などを調整した後のデータでも同じ傾向がみられ、研究者らは、どのデータを考慮して調整した場合でも、「本に囲まれて育つことには利点があるという結果が出た」としている。

16歳の時にどれだけ書籍が自宅にあったか

平均冊数
エストニア 218
ノルウェー 212
チェコ 204
デンマーク 192
ロシア 154
ドイツ 151
オーストラリア 148
英国 143
カナダ 125
フランス 117
世界 115
米国 114
アイルランド 107
日本 102
ベルギー 95
チリ 52
シンガポール 52
トルコ 27

(文:松丸さとみ) 

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

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