たとえば「声が小さい人はダメ」「選考で〇色のネクタイしてくる学生はダメ」「最初に立ってあいさつしなかった人はダメ」「魚をきれいに食べられない人はダメ」「〇〇大学の××学部出身はよい人材が多い」「野球部出身者はよい」「最後に質問ありますかと聞いて、△△を聞いてくる学生はよいが、□□を聞いてくる学生はダメ」などなど……。その面接官の経験から来る思い込みが判断基準となっており、そこに論理的な根拠はほぼないということがあります。
人事関係者で集まり、「社内の面接官が言い放った、ビックリする合格理由、不合格理由」というテーマで話をしたら、まちがいなく盛り上がると思います。面接での選考判断基準はあいまいになりがちなので、一概に面接官を責められないのですが、設定した判断基準とあまりにも関係ないことで選考される場面も、決して少なくないのです。
面白いのは、書面やデータ上では論理的に判断しようとする傾向が強いのに、いざ人と直接会うと、いい意味でも悪い意味でも、判断基準が論理ではなく感情に左右されやすい、という印象があります。ほしい人物像をしっかり理解している面接官でも、学生と直接会って、学生の持つ雰囲気や発する言葉などに影響され、自分の好みの人物像で判断しまうことがあります。
ほかにも、判断基準が多すぎて見極める時間がなくなり、最終的に面接官の単なる印象で決めてしまっている企業の話、特に人が集まらない企業ほど、学生の情熱に弱い傾向がある話などもありますが、今回は割愛したいと思います。
あいまいな理由で選考が通過しないこともある
いずれにしても、公表している求める人物像は、「嘘ではないが完璧に正確なものでもない」ということです。
学生の立場から見れば、無駄な活動を少しでもなくしたいので、企業側が求める人物像を明確に設定し、どんな人が受かるのかを分かりやすくしてほしい、という要望はあるでしょう。企業側もできる限りその努力をすべきだと思うのですが、これまで書いてきた通り、求める人物像の正確な明確化はかなり難しく、労力をかけて設定したところで、その設定に無い判断基準が多く生まれてしまうということはあります。
そこで学生の皆さんに強くお伝えしたいのは、言葉で書かれていることを鵜呑みにせず、まずは直接、企業に足を運ぶことを重視した方がいいということです。企業の価値観や風土について、直接感じ取ることを積極的にしてほしいのです。
また、選考基準が明確にできないということは、あいまいな理由で選考が通過しないこともあるということです。よって、選考通過しないことがあっても、そのことをあまり引きずらず、縁がなかったと割り切り、次にどんどん進んでほしいのです。選考に通過しなかったことで、自分に自信を無くし、行動を止めることはマイナスです。自分の可能性を、限られたある一部の見方による評価で、勝手に判断する必要はありません。
多くの企業や、そこで出会う人を通じて、働くことへの理解と世界が広がり、自分に合った企業や職場がより明確に見えてくることは、よくあることです。一生懸命な就活を通じて学生が成長するという話も、人事間で盛り上がる話です。
身だしなみや、エントリーシートのエピソードの作り方、面接時の話し方など、選考に通過するために必要なスキルがあることは事実です。スキルの話はまた別の機会で触れますが、そうしたノウハウ系の事柄は、学習して訓練すれば、ある程度身につけることができます。
いくらスキルを身につけても、自分に合った企業に就職するには、その企業とまずは出会わなければいけません。求める人物像が自分と合致し、能力を最大限発揮できる企業と出会うためには、幅広く企業に興味を持って直接足を運ぶことを、できる限り行ってほしいと思います。
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