「オワハラ」という就活用語は、「就活終われハラスメント」の略語だ。企業が学生に対して、他社への就職活動を終了して自社に入社するよう、圧力をかけることを指している。ただし、この言葉を知っているのは新卒採用・就職関係者のみであり、一般用語とは言えない。
今回使用するデータは、2018年6月に「楽天みん就」と共同で行ったアンケート調査結果(2019年卒業予定の大学生・大学院生対象)だが、オワハラを「パワハラ」と勘違いしている学生が数名いた。就活生も正確に理解していないのだ。
2割強が「他社を辞退して」といわれた
「オワハラ」は2016年卒の新卒採用で登場した新しい言葉だ。経団連が指針を変更し、3月広報解禁、8月選考解禁としたのが2016年卒採用であり、採用現場で大きな混乱が生じた。
2015年卒採用以前にも他社への就活を終了し、自社の内定承諾書に署名捺印するように学生に迫る企業はあったはずだが、それほど問題にはならなかった。しかし、2016年卒では圧力のかけ方が“強要”に近くなり、行き過ぎた状況を、NPO法人のDSSがYouTube上にアップ。一気に「オワハラ」という言葉が就職関係者の間で有名になった。
さて、それから3年経った。2016年卒の新卒求人倍率は1.73倍と売り手市場だったが、2019年卒は1.88倍となり、さらに採用が難しくなっている。オワハラはひどくなったのか、それとも是正されたのか。
2019年卒就活生によれば、オワハラが「ある」とする文系学生は23%、理系学生では20%だ。残りは「ない」と回答している。データを見ると、オワハラは少ない、という印象を持つだろう。確かにそれほど多くはないが、この調査が6月に行われたことに注意する必要がある。
6月時点の内定率は7割前後で、約3割の学生は内定を得ていない。また内定学生に対し全員にオワハラをするわけではない。オワハラをする企業は一部だし、その一部の企業もつねにオワハラするわけではない。数字の背景を想像すると、20%台は妥当に見えてくる。
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