「他社の選考を辞退しろ」はもう逆効果だ 就活「オワハラ」、まだ残る2割の赤裸々な実態

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しかし、20%台は全体の平均であり、学校群によって数字は変わる。文系では難易度の高い「旧帝大クラス」が多く、オワハラが「ある」と回答する学生は34%に達する。これは「早慶クラス」25%、「上位国公立大」26%よりも、10ポイント近く高い。「その他私立大」は17%と少なく、「旧帝大クラス」の半分だ。

理系では「早慶クラス」が高く32%だ。「旧帝大クラス」19%、「上位国公立大」19%よりも、13ポイント高い。「その他私立大」は13%と低く、「早慶クラス」と20ポイント近く離れている。

理系は文系と違い、原則、内定辞退が許されない「推薦制」による内定者がいる分、「ある」とする学生の割合が少なくなっている。企業からすれば、推薦制で内定した学生は他社に逃げることは考えづらく、わざわざオワハラをする必要はない。「旧帝大クラス」の理系は推薦制での内定者割合が高く、文系と比べると、「オワハラ」経験者の割合がかなり低くなっている。

売り手市場と言われるが、就活する学生と採用する企業を比べると、企業は選ぶ立場、学生は選ばれる立場だ。オワハラは、強い立場が弱い立場の者に強要する、パワハラに似ている。強制されて納得する学生もいるだろうが、志望度を下げる学生も少なくない。

オワハラしたら、学生の志望度は低下

「オワハラ」による志望度の変化を問うたところ、全体平均では「変わらなかった」という学生は文系41%、理系39%だった。そして残りの6割の学生は、自分にオワハラをした企業への志望度を下げている。つまり、オワハラは逆効果なのだ。

学校群による違いもある。特に個性が目立つのは早慶クラス。オワハラを受けても、「変わらなかった」とする学生が多く、文系では47%と多い。ほかの学校群より数ポイント高い。

理系になるとその傾向はさらに強まり、「変わらなかった」とする学生は67%。他の学校群では30%台がほとんどだから、その差は30ポイント以上である。「早慶クラス」の理系学生は、理系の中ではオワハラ経験者が多かったが、あまり影響されなかったようだ。

2016年卒採用では半ば恐喝めいたオワハラ事例がかなり報告されていたが、今回の調査で寄せられたコメントを見ると、そうした非常識な企業はほとんどなくなっているようだ。

ただ、ひどいと思った事例が、全くなかったわけではない。以下に紹介するコメントは、就活を続けたいと企業側に伝えたときに、いわれた言葉だ。企業は誰でも知っている著名企業だが、あまりにも品性がないと言わざるを得ない。

「『なめてんのか、テメエ』と言われた。目の前でお世話になった社員の方に、電話をスピーカー(状態)にしてかけさせられて、ボコボコに言われる」(文系・早慶大クラス)

学生のコメントを読むと、採用選考解禁の6月よりも前に内定を固めようという企業は、多いようだ。採用戦略としては有効かもしれないが、多くの学生が「6月選考解禁」というスケジュールを知っているので、企業に対して不信感を持ってもおかしくないだろう。

ハラスメントかどうかは言葉の選び方で決まるが、「4月末までに承諾しないのなら取り消す」(理系・旧帝大クラス)というような高圧的な物言いは、上から目線の典型だ。

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