「他社の選考を辞退しろ」はもう逆効果だ 就活「オワハラ」、まだ残る2割の赤裸々な実態

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もっとも、多くの企業は、もっとソフトな言い方をしているようだ。

「内々定を出すのが4月上旬にもかかわらず、2週間しか待てないと言われた。面接時、他企業も受けると言っていたので選考日程は理解していると思うが、他企業は受けさせたくないのではないかと感じた)」(理系・その他国公立大)

「内定承諾書の提出期限が5月2日までと、6月解禁の1カ月前で早すぎる。内定後に他の企業も受けていることを伝えると、内定通知書を渡すことを渋られた」(文系・中堅私立大)

「6月にもう1つだけ受けたい企業があると伝えたが、5月中に返事するように言われた」(文系・旧帝大クラス)

「これから選考が始まる会社が多くある5月の上旬に、内定承諾書の提出を求められた」(理系・その他国公立大)

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最も多いのは「内定を出したら就活を終わるように言われた」(文系・早慶大クラス)というものだ。就活も学生と企業の取引だから、内定という契約に関して条件があるのは当然だ。下記のような企業の対応をオワハラとして糾弾するのは無理があると思う。

「オワハラとしていいのかわからないが、最終面接合格者から入社への意思表示が早い者順で内定を出していく。採用人数の倍くらいの合格者がいる。結局、入社予定だが、『サイレントお祈り』とこの対応だけは不安が残る」(文系・その他私立大)

「明確にオワハラではありませんでしたが、最終面接の前に、『内定をあげたとして、それを辞退するようなときにはきちんと説明しに来てもらうけど、わかっているよね?』というようなことは言われました」(文系・中堅私立大)

「内々定を承諾した2日後に呼び出され、採用担当者の見ている前で、内定承諾書にサインと捺印をしなければならなかった」(文系・上位国公立大)

「他社の選考、内定を辞退するよう言われた。その企業を第一志望と言っていたので、当然だとは思うが」(文系・中堅私立大)

企業の”しつこい熱意”は警戒される

企業側の熱意を嫌がる学生もいる。しつこく学生に電話したり社長懇談会を行ったりするのは、どうしてもほしい学生ということの表れだろう。しかし、あからさまな熱意は警戒されるようだ。

「後出し推薦(自由応募なのに後から推薦書の提出を求められること)や、直接的なオワハラではないが、社長との懇談会などをかなり頻繁に行い、圧力を感じた」(理系・中堅私立大)

「他の企業は受けないよね?と詰められる。受けないと言わないと、最終面接へ進ませてくれない(分かるけど)。とにかく、しつこいほど電話がかかってきて、面談をセッティングされる」(文系・中堅私立大)

企業は内定を出せないと言って「オワハラ」することで学生に逃げられることもある。下記の学生は、「オワハラ」をするような文化を持つ企業の職場を、面倒だと断じている。たぶん内定を辞退したのではなかろうか。

「最終選考前に入社すると言わなければ、内定は出せないと言われたこと。それまでの面接のフィードバックは満点で、自信もついたが、オワハラをされた時点で入社後のことを考えると、面倒だと思った」(文系・早慶大クラス)

今回の調査を見て感じるのは、「オワハラ」という言葉が登場してから3年が経ち、あからさまな恫喝は少なくなっていることだ。

学生のコメントも「オワハラと言われればそうかもしれない」というようなあいまいな例が多い。もしかすると、言葉だけが独り歩きしているのかもしれないが、油断は禁物である。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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