日揮と千代田化工、北米に進出するワケ 未開拓マーケットで大型受注獲得へ
受注金額は巨額
千代化の澁谷省吾社長はこう話す。「近年はLNGの新規プロジェクトがオーストラリアに集中していたが、現在の(LNGプラント受注の)主戦場は北米へと移った。こうした北米のLNG案件にどれだけ関与できるかが、当面の最重要課題。追いかけている案件は複数あり、大いに期待している」。
力が入るのは当然だ。天然ガスをマイナス160℃以下まで冷却して液化するLNGプラントは設備が大掛かりで、受注金額は巨額。年産1000万トン級の施設になれば5000億円を軽く超える。しかも、その設計・建設には高度なノウハウが要求されるため、実績があるのは世界でも日揮、千代化とベクテル、KBRなど数社に限られる。
北米で相次ぐ計画は、日本の2社にとって大きなチャンスだ。「コーブポイントLNG」は新規参入のIHIがEPCを受注したが、こうしたケースは珍しく、ほかの主要なプロジェクトは日揮、千代化が有力候補に挙がる。日系企業が北米で大量の熟練作業員を手配・統率するのは難しいため、いずれも現地の大手エンジ会社と手を組んで受注獲得をもくろむ。
現在、計画されているプロジェクトは米国内だけで20件近くある。「LNG輸出量が増えれば米国内のガス価格は上昇し、地元の需要家から反発が強まる。米政府が輸出許可を出す件数は限られる」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之・上席エコノミスト)との見方が多く、実現に至るのはカナダを含めて10件程度とみられる。とはいえ、それだけでもLNGプラントの発注総額は5兆円以上に及ぶ。
さらに「米国のシェールガス輸出に対抗して、ロシアなど他国もLNGの輸出計画を急いでまとめようとしている。日揮、千代化にとっては、こうした動きも大きな追い風だ」(大和証券の田井宏介シニアアナリスト)。
米シェールガス革命を契機に、絶好の商機を得た日揮と千代化。どこまで受注を積み上げられるかが焦点だ。
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