ビール廃棄物からできた「小麦粉」のすごみ 食品廃棄物を減らす出発点になるか

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ブルックリンにある別のベーカリー「ビアンキュイ」は、チョコレートと大麦、ドゥルセデレチェのパウンドケーキに、ライズの小麦粉で作ったシュトロイゼルをトッピングしている。同じくブルックリンのパスタメーカー「Sfoglini」が製造するのは、デュラム小麦とライ麦、ライズの小麦粉を使用したラジアトリだ。

さらにヒメネスは昨年、イタリアの有名シェフ、マッシモ・ボットゥーラにもサンプルに興味がないかと思い切ってメールをした。するとボットゥーラからサンプルを求められ、その後、彼の店のスタッフから追加で7キロ送るよう依頼された。

炭水化物量は一般的な小麦粉の約30%

ライズの小麦粉で何を作るのかはまだわからないが、「世界のベストレストラン50」の1位にも選ばれたモデナにあるボットゥーラの「オステリア・フランチェスカーナ」のメニューに載る日が来るかもしれない。

ライズの創業者らによると、ケロッグやホールフーズ、ネスレの契約メーカー、ネスレの子会社ディジョルノ・ピザといった大手ブランドからも、サンプル提供の依頼を受けているという。

キッチン用品ブランド「Sur La Table」のシェフ、ジョエル・ガモランは昨年の夏にライズの小麦粉の袋を初めて開けたとき、その香りに魅せられた。「普通の小麦粉にはない豊かな風味がある」とガモランは言う。

ガモランは自身の料理教室でライズの小麦粉を使うことについて同社と話したが、価格が下がらないかぎりは現実的ではない。

小麦粉を作る「もと」となる大麦(写真:George Etheredge/The New York Times)

大麦は小麦よりもグルテンの量が少なく、ビスケットやパンなどそれほど膨らむ必要のないものに適している。ガモランがライズの小麦粉でビスコッティにクリスプショートブレッド、ウエハースを作ったところ、これまでに作ったどんなものよりも「400倍おいしくできた」と言う。

ビールの醸造の過程で糖分が取り除かれるため、ライズの小麦粉は一般的な中力粉に比べて炭水化物の含有量が3分の1だ。また原料が大麦なので、タンパク質が2倍、食物繊維は12倍もある。

次ページビジネスを広げるために…
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事