コーヒーが「命取りになる人」が持つ遺伝子 代謝の違いが反応の違いを生んでいる
缶コーヒーでも、コンビニの100円コーヒーでも、とにかくコーヒーを飲まないことには1日が始まらない、という人は多いだろう。
だが、カフェインの効果は人によって異なる。濃いコーヒーを飲むと、シャキッとして夜も眠れなくなるという人もいれば、頭はさえるけど、眠れなくなることはないという人もいる。
カフェイン代謝のスピードに差
カフェインが運動能力に与える影響も、人によって差がある。ワークアウト前に少量のカフェインを摂取すると、たいていの人はより長い時間、より精力的に体を動かせるが、普段とまったく変わらないという人もわずかにいることが、過去の研究からわかっている。
この違いは遺伝子が原因ではないかと、トロント大学のアフメド・エルソヘミ教授(栄養学)は考えた。もともとエルソヘミ教授は、食品や食生活の効果に遺伝子が与える影響を研究している。
すでに「CYP1A2」という遺伝子多型が、カフェインの代謝スピードに影響を与えることは過去の研究からわかっている。ある型のCYP1A2遺伝子は、カフェインのスピーディーな代謝を促す。このタイプのCYP1A2を両親から1つずつ受け継いだ人(高活性型)がカフェインを摂取すると、一瞬頭がさえるが、ほどなくして効果は消えていく。米国人の約50%がこのタイプと考えられている。
一方、カフェインの代謝を遅くする型と、速くする型を1つずつ両親から受け継いだ人は、カフェインの代謝スピードはほどほどになる。そして両親から受け継いだCYP1A2が、どちらもカフェインの代謝を遅くする型なら、その人は「カフェインに弱い人」だ。代謝スピードがほどほどの人は米国人の約40%、遅い人は10%程度と考えられている。