今の日本には「多動力」を育てる学校が必要だ 未来を恐れず、過去にとらわれず、今を生きろ

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通信制であれば、子どもが窮屈に感じたり、つらいと思ったりする場所に、無理に身を置く必要はなくなる。与えられた環境によって、勉強をあきらめることも、その場所に居続ける必要もない。逃げたくなれば逃げればいい、生きづらく感じたなら別の場所へ移ればいい。自分が望む環境を通信制で学びながら模索して、ゆっくり将来を考えたっていい。

さらに通信制であれば、学習時間を自由に組める。効率化して可処分時間を増やすことも可能だろう。自分のスケジュールに合わせて、大学入学へ向けた勉強に励んでもいい。社会活動に参加したり、起業したりしてもいい。生徒自身が興味・関心を持って学べば、自ずと未来に向けた具体的な夢や目標を描きやすくなるだろう。

持て余したエネルギーをどう使うか

入学式に参加して笑顔を見せる生徒たち(写真:ゼロ高等学院)

インターネットの登場により、場所や環境の制限を受けずに、情報にアクセスできるようになった。その結果、情報やモノ、あらゆるものの「所有」の価値が下がった。有名な大学に入学する、大手企業に就職する、収入が高い……。「所有」の価値が高い時代には、こうした価値観がある程度意味を持った。

だが、今となってはどうだろう。一般的に言われることだが、1980年代以降に生まれたミレニアル世代には物欲があまりない。世の大人たちは、今の若者が大人しすぎるだとか、積極性が足りないだとか言う。しかし、その認識は誤っている。

「いい大学」へ行って、「いい会社」に入って、「いい人生」を送るという考えはとうに廃れたのだろう。子どもたちは、今の大人たちが言う「いい人生」に憧れを抱いてはいない。

今、高校に入ろうとする若者は2000年代以降に生まれていて、さらに物欲がなくなってきている。実際、生徒たちと面談して話を聞くと、偏差値が高いといわれる大学に進学することにはそれほど関心がないようである。それよりも、どうすれば自分が社会や誰かの役に立てるのか、自分には何ができるのか。そこに関心が注がれているように感じる。

ここ最近、若くして起業したり新しい技術を考案したりする人たちが増えている。筆者はここにヒントを見出した。ふつふつと湧き起こるエネルギーを社会にインパクトを残すために使えれば、子どもも社会もサスティナブルに変われるかもしれない。筆者はそんな仮説を持っている。

かつて学校になじめない子どもたちは非行に走っていた。窓ガラスを壊したり、ケンカをしたり、バイクで暴走したりして、有り余るエネルギーを発散していたのだろう。でも、今はそういう時代ではないと思う。

それでも、エネルギーを持て余している子どもたちは依然として存在する。彼らはそのエネルギーをどう放出すればいいのか。それがわからないのだとしたら、そのエネルギーの使い方を教えてあげればいいのではないか。

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