今の日本には「多動力」を育てる学校が必要だ 未来を恐れず、過去にとらわれず、今を生きろ

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他方、学校の外に目を向ければ、エネルギーをアウトプットする方法はたくさんある。技術革新に伴うテクノロジーの進化や、ソーシャルメディアの発達・普及などによって、誰もがクリエイターになったり、起業したりできるようになった。

1つのことをコツコツとやる時代が終わったといわれる中、ゼロ高を主宰する堀江貴文氏は、これからの時代にはあらゆる業界の壁を軽やかに飛び越える「多動力」が必要だと指摘している。そして、あらゆる選択が可能となった現代において大人や教師ができることは、子どもが抱く夢や目標を実現するため、共に悩み、考えることくらいなのではないか。

つまり、子どもが自分の道を探すため、できる限り選択肢を用意しておくことが、これからの教育にとっては重要なのだ。

かといって、その選択肢の中から、自分の人生を選ばなければならないということではない。生徒たちには、多様で多彩な人たちとコミュニケーションをとりながら、独自の道を歩む勇気を学んでほしい。そして、何かを成し遂げることが決して容易ではなく、その道は険しくもあり、面白いことを覚えてほしい。

未来を恐れず、過去にとらわれず、今を生きろ

入学式当日、生徒にメッセージを送る筆者(写真:ゼロ高等学院)

10月6日、静岡の山奥にある「ゼロの郷」で入学式が開かれた。長崎から1000キロ以上かけて車で父親と来た男子をはじめ、全国津々浦々から12人が参加してくれた。中にはフィリピンのスラム街でインターンをしているという女子もいた。

入学者には「転校生」が多い。しかも進学校から「転校」してきた生徒も何人かいた。彼らはまさに既存の教育システムに満足できなかった子どもたちだ。

生徒の中には、子どもに立派な姿を見せたいと話す中卒の社会人もいる。飛び級でヨーロッパの一流大学に進学したものの、高校を卒業してないから通いたいという理由で入学した男子もいた。大学で音楽を専攻する彼は「ゼロ校に来ている学生と何か一緒にやりたい」と話している。

未来をあきらめず、年齢にかかわらず、自分の道を見つけられる――。教育の役割とは、本来こうあるべきだろう。仮に受験に失敗したり、学校をドロップアウトしたりしても、思い立ったときに挑戦できる環境があれば、きっと社会はよくなると信じている。

ゼロ高は挑戦と失敗を尊重する。仮に失敗したとしても、誰も失敗を笑わない環境をつくっていきたいと思う。さまざまなことに挑戦できる環境が整えられれば、そこに多様な人たちが集うだろう。結果、社会を通じて何者かになりたいという目標を持った生徒が集まると考えている。それがまた多様性を育む。

入学式で堀江貴文主宰は、ゼロ高生へ「収入の心配もなく、体力はあり、時間もある。君たちは無敵だ」と言葉を贈った。未来を恐れず、過去にとらわれず、今を生きろ――。これをスローガンとし、日本の教育にインパクトを与えられるよう、教育に邁進したいと考えている。

内藤 賢司 ゼロ高等学院長、SNS education代表

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ないとう けんじ / Kenji Naito

教育とITの懸け橋を生業とする。ウェブサービスの企画立案、大規模プロジェクト統括から実装までこなすオールラウンダー。大規模システム開発を行う一方、子どもが生まれてから、人と社会の重要性に目覚め、週末は地域のお父さんお母さんと社会活動をしている。が、パワフルなお母さんたちから、もう少し働けと怒られている。若い人材の可能性が、環境の影響で摘まれてしまう世界を解決するためにゼロ高の責任者へ。サッカーとお寺が好き。共著に『Webエンジニアの教科書』がある。

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