「お金のライザップ」は何を鍛える場所なのか サイバーエージェント出身者が起業

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現在、bookeeの無料体験を受けたいと申し込みをしている人たちは累計で1000人。ミレニアル世代の女性が7割を占め、結婚の直前、直後に受講しにくることが多いという。こうしたこともあり、2店舗目を表参道のWeWorkに構えて規模を拡大した。

3カ月のコンサルティング期間と、リバウンド防止のためのメンテナンス期間が1年。コンサルティング期間には担当コンサルタントによる10回の直接指導、保険・住宅に関する専門家による面談4回、毎日新しいカリキュラムが届けられる3カ月分のオンライン学習プログラムが含まれる。これらがセットになって29万8000円だ。

また1年のアフターサポートではLINEを通じた金融知識に関する相談に加え、お金に関する教養講座、あるいは個別面談を4回まで受けられるアフターフォローが行われる。

こうした教育カリキュラムに加え、毎日の支出をレシートの写真などでLINEを通じて提出してもらい、それを担当コンサルタントが支出カテゴリごとに集計し、次回の面談時にチャート化してみせて、カリキュラムの調整をしていく。顧客に寄り添った本当の意味でのカスタムメードプログラムへと寄せていく。

ライザップの基本プランと同じ価格設定

合計で29万8000円という価格設定は、ライザップの基本プランと同水準の価格だ。「bookeeではお客様ごと、たとえば”資産増加額”や、”1年後に無理なく家を買える財務バランスと準備資金を実現したい”といった具体的な目標を設定するため、投資に対する成果が見やすい。決して高い設定ではない」(児玉氏)。

ライザップでは6年間に10万人をトレーニングしたという数字があるが、同じように顧客を増やしていけるだろうか。

成長できるかどうかは、顧客からのニーズがあるか否かもあるが、トレーニングを担うコンサルタントの育成もカギになる。児玉氏によると、金融商品の開発や販売を行うのではなく、本来ならば知っているべき知識を教え、取るべき行動を取るための”コーチ”に近い能力が必要であり、ファイナンシャルアカデミーのカリキュラムをベースに、認定コンサルタントの育成も並行して行う予定だという。

「お金のパーソナルトレーニング」を根付かせるための道のりは始まったばかりだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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