「お金のライザップ」は何を鍛える場所なのか

サイバーエージェント出身者が起業

結婚という人生の大きなイベントを契機に生命保険を見直したところ、貯蓄と掛け捨てが複雑に入り組んだ保険商品を理解できなかったという。同時に検討を始めた住宅ローンも、数字面ではお得に見える低金利ローンが本当にお得なのかどうか、細かく見ていくと条件が異なることがわかった。

当然、資産運用についてもさっぱりわからない。仕事面で充実し、着実に実績を上げてきたこともあり、どのように効率的に資産を運用し、増やしていくかという視点がなかったためだ。積立型保険も投資信託も何も知らず、NISAもiDeCoの意味を知ったのも、このときだったという。

読者の中には「そんなことは基本の中の基本じゃないか」と思う方もいるだろう。もっともな話だ。低金利時代の中、さまざまな金融商品が個人向けに開発されているが、一方で複雑化もしている。

基礎的な知識がないまま、忙しい毎日の中で生きていると、基本ではないかと思われることにも考えが向かいにくい。まして、投資信託の目論見書を読み、手数料などの詳細な条件を評価、目利きできる人が、どれほどいるだろう。

日本銀行調査統計局によると、アメリカでは”お金のカリキュラム”が幼稚園から高校まで用意され、特に高校では16.4%が必修科目としているほか、英国でも小学校から高校まで金融リテラシーの授業が組み込まれているという。

一方、日本では金融リテラシーを学ぶ機会が義務教育から高校にかけて一切ない。こうしたことが、”お金に対して向き合うこと”から遠ざけているのは、金融個人資産の51.5%が現金・貯金で管理されていることからもわかる。

こうした状況を背景に、”毎月の家計を安定させる”といったレベルから、”個人向け金融商品の扱い方”、あるいは”金融商品の目論見書を読み取る””住宅は賃貸か分譲か、あるいは一戸建てか””生命保険の選び方”などについて、一人ひとりの顧客からヒアリングをしたうえでトレーニングのカリキュラムを作成するのがbookeeというわけだ。

担当トレーナーとの「心の距離の近さ」がポイント

カリキュラムの基礎は、提携先である47万人の卒業生を持つファイナンシャルアカデミーの教材を活用し、特定ジャンル(たとえば住宅ローンや生命保険など)に関してはファイナンシャルアカデミーの講師が直接、bookeeの利用者にレッスンすることもあるという。

しかし、重要な点はカリキュラムそのものよりも、自分と一緒にお金に向き合う一人ひとりにつく担当コンサルタントとの二人三脚で金融の基礎を学びながら、第一歩を実際に踏み出して自信を付けながら、”資産が増える体質”を身に付けることだと話す。

「本を読んで知識を付ければ、おおよその”お金を増やす仕組み””減らさない、浪費しないコツ”は理解できます。でも、理解できたとしても実行に移せるかというと、実はなかなか移せない。これは自分自身が経験したことなのですが、自分が選んだ金融商品が正しいかどうか自信が持てないからです」(児玉氏)

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