ベイスターズが「野球普及」に全力を注ぐ意味

球団としての野球離れへの危機意識は強い

ベイスターズベースボールスクール川崎富士見校体験会の様子(筆者撮影)

ベイスターズは、DeNA体制以前からNPO法人を作って野球振興活動を積極的に取り組んできた。會澤部長は着任時に野球がほかの競技に比べてどれくらい競技人口が減っているかヒヤリング調査をした。

その結果、未就学児、小学低学年にターゲットを絞ってアクションを起こすことが効率的な普及活動につながることがわかり、取り組む内容を大きく変えたという。

野球振興活動のターゲットとなる子どもたちは、すでに野球をしている子が中心だったが、スポーツを選んでいない子に野球を選択してもらうことを目的に変更した。

「対象学年をこれまでは小学校訪問は4~6年生にしていましたが、現在は1、2年生にシフトしました。体育の授業要綱に3年生から『ベースボール型授業』をやるカリキュラムがあるので、その前に野球の体験をさせる方がいいだろうと考えたんです。

小学校訪問に行ってから3週間後にその学校にアンケートを送っています。そのアンケートで、どんな形であれ野球を始めた子が何人いたかを定量的に調べました。今のところ1校で2人始めてくれたらうれしいと思っていました。100校で200人です。

小さな数字ではありません。私たちが訪問しなければ野球に興味を持たなかった子が、200人も野球を始めたのですから。どんどん野球をやる子が減っているので、横浜の競技人口を下げ止めることにつながるのではないかと思っています。これを3年、5年と続けることで、横浜だけ野球人口が減っていないねということになってくれば、これこそが成果ですね。

おととしから未就学児を対象にした「DB.スターマンカップ」というティーボールの大会を横浜スタジアムで6月に開催しています。今年は78チームが参加してくれましたが、皆さん非常に楽しそうでした。その姿を見ると、活動を続けて野球人口減少の食い止めになるかと思っています」(會澤裕頼部長)

金銭面のハードルと指導者の質

「課題はいろいろありますが、金銭的なハードルが大きいです。サッカースクールの視察にも行き、父母の話を聞くと『野球は道具をそろえるのが大変』と言われます。それに『野球は洗濯物も多い』とも。これは小さな話ではありません。

指導者の質の問題もあります。最近も少年野球の体罰動画が話題になっていました。少年野球を見に行って感じるのは、『大人のストレスの発散の場じゃないのか』というくらい指導が荒っぽいことがあります。

ベイスターズのジュニアチームの選手たち(写真:横浜DeNAベイスターズ提供)

ベイスターズのジュニアチームも他のチームと練習試合をやったり、練習を見てもらったりしますが、私は常々『我々のチームはクリーンにやろう、怒鳴ったりパワハラみたいなことをしなくても、強いチームができるところを見せよう』と言っています。

本当の厳しい指導とは、怒鳴ったりすることではないと思います。礼儀礼節は大事ですが、強制するのではなく、なぜそうしないといけないのか、子どもに理解させることが大切でしょう。ジュニアチームの活動も含めて地道な活動をやり続けるしかないと思います」

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