「仕返し」はチームワークに有効とは言えない

「フリーライダー」を更生させる戦略はある?

われわれ人間は、しっぺ返しをしたい気持ちを、完全に克服したのだろうか(写真:Ja'Crispy/iStock)

仕事にはチームワークが欠かせないが、チームワークには不公平感がつきものだ。われわれは、自分が一生懸命に協力しようとしているときに、力を合わせる振りだけで、実はただ乗りしている人(≒フリーライダー)を見ると無性に腹が立つ。ずるい人を罰したいと感じる。

記事(「恩返しを実行する人は気高い」といえるワケ)で、「恩返し」と「恩送り」を増やすことがいかに社会にとって重要であるか解説した。一方で、人間は「恩を返さない」ことも「恩を仇で返す」こともできる。これらの行為を防ぐことができなければ、「恩返し」も「恩送り」もフリーライダーに食い物にされてしまうだろう。

自然界における社会動物には、「恩には恩を(恩返し)、仇には仇を(しっぺ返し)」という、シンプルな返報ルールがよく見られる(参考記事:障害者への「合理的配慮」はなぜ必要なのか)。こういった単純な行動パターンは、単純互恵行動(simple reciprocal behavior)と呼ばれ、「猿まね行動」と訳されることもある。

ゲーム理論における「しっぺ返し戦略」

確かに恩返しとしっぺ返しは、どちらも「相手の猿まね」で行うことが可能で、恩に恩を返すこともできるし、恩を仇で返してきた相手には、次回、仇に仇を返すことができる。このような行動上の戦略は、ゲーム理論では「しっぺ返し戦略」と呼ばれる。

人類史に見られるしっぺ返し戦略の最も極端な例は、「目には目を……」の条文(ハンムラビ法典)だろう。ハンムラビ法典は完全な形で残る世界で2番目に古い法典だが、ひたすら「しっぺ返しのルール(報復律)」が書いてあるように私には見える。わが国でも、江戸時代には「仇討ち」が場合により認められていた。

今現在、このような報復律に基づくルールにはまずお目にかかれない。では、われわれ人間は、しっぺ返しをしたい気持ちを、完全に克服したのだろうか。

次ページしっぺ返しを崇拝する専門家もいる
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • グローバルアイ
  • iPhoneの裏技
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 賃金・生涯給料ランキング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT