日本と北朝鮮「大学生14人」の交流に見た現実 平壌に約1週間滞在した堀潤氏がリポート
堀:イメージというのは危険ですね。ベテランの通訳の方がこんな話をしていたのが忘れられません。「私たちの世代の問題である、核の問題や拉致の問題を解決したいと思う。自分にも娘がいる。後輩や学生たちがいる。彼らの望む未来を実現できるように、今解決したい。関係を発展させていきたい。今のように膠着状態でずっといたら、何にも前進できない」と。私たちの世代も責任を背負っているというのを感じました。前進のための言葉を投げかけていかなければいけませんね。
メディア人として、平壌に入るメディアと入らないメディアがあります。「向こうの手の平の上に乗っかってそれを伝える必要はない」と記者を入らせないメディアがある一方で、TBSや共同通信のように訪朝に同行するメディアもあります。受け取る皆さんそれぞれで考えて判断することではあるけれど、情報を提供する側としてはアプローチし続けること、伝えつづけることが大事だと考えています。
僕らの仕事は淡々とファクトを集めてくることです。今回は、すごく大きなホールケーキの、ほんのワンピースを舐めただけ。僕もまだ一部しか知りません。何回も足を運んで、「北朝鮮」という大きな主語でなく、小さな主語で一つひとつ集めていきたいと思っています。社会を変えるのはジャーナリズムではなく、有権者一人ひとり。それができるのが民主主義です。その情報素材を提供したい。これまでは、イメージでしか語れないのが申し訳なく思っていました。今回は、取材でなく訪問という形でしたが、貴重な経験をありがとうございました。
宮西:日本の学生たちも、今まさに悩んで考えを整理しているところだと思います。自分が見たものを、信頼している友人、自分を信じてくれる人に話しをして、考えていく。私たちはこれまで細い糸でつながってきましたが、それを続けて広げていき、お互いに理解してお互いを想像して、わたしたちの地域の平和をつくっていければと思います。
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