日本と北朝鮮「大学生14人」の交流に見た現実 平壌に約1週間滞在した堀潤氏がリポート
今井:(2012年の初めての大学生交流会では)会議室で短い時間を過ごすだけの交流でしたが、ともに過ごす時間が年々長くなっています。今年は、日本の大学生6人と、平壌外国語大学で日本語を学ぶ大学生8人が、「玉流館」といういちばん有名なお店で冷麺を食べたり、地下鉄に乗ったり、バスで移動したりしながら交流を行いました。
堀潤(以下、堀):緊張状態もありながら、つなぎ止めて交流してきたのですね。メディア側の人間として、伝える側の責任も大きいと感じています。日本では、北朝鮮といえば、メディアから流れてくる「金正恩」「核」「テレビの特徴的なキャスターの様子」などのイメージが強い。JVCの活動を取材させていただいて、「北朝鮮に住んでいる一人ひとりのことを知っているだろうか」と考えるようになり、今年は一緒に訪朝させていただくこととなりました。
ぜひ、貴重な映像もご覧ください。
堀:北京空港から平壌空港までは国営の高麗航空の旅客機に乗り約2時間のフライトで到着します。機内食はハンバーガーと飲み物が軽食として出されます。ゴマのふってあるバンズに、あっさりとした肉が挟まれています。ハンバーガーと言えばアメリカの象徴的な食べ物ですが、それが機内食で出されるとは驚きました。1時間余りすると機内アナウンスが。窓の外を見下ろすと川が見えました。中朝国境を流れる川、鴨緑江です。アナウンスは入国を歓迎する内容でした。
初めて見渡す平壌の街並み
到着した平壌空港は日本の主要都市の空港と同じような規模感で設備や内装も近代的で整った雰囲気の空港でした。入国時には荷物チェックのほか、パスポートと携帯電話をいったん預け確認を受けます。
ゲートを出てロビーに向かうと、早速、平壌外国語大学出身の2人の女性が出迎えてくれました。日本からの6人の大学生たちとの初対面です。彼女たちが学生交流で通訳を務めてくれます。日本語学科を卒業しており、自己紹介も流暢な日本語です。とはいえ、なかなか出会うことのない日本人を前に顔を赤らめ、はにかみながら探り探りの会話をしていました。
バスに乗り、平壌中心部に移動。道中写真などを撮影していいか尋ねたところ「検問所と軍事施設、軍人の顔のアップさえ撮影しなければどこを撮っていただいても構いません」と案内がありました。 初めて見る平壌の街並みは思った以上に近代的でした。高層マンションやガラス張りのオフィスビルなど、ここ数年で新たに建設された街並みが続きます。街の中心部、金日成広場では9月9日の建国70周年式典のマスゲームに参加する若者たちが練習を続けていました。