日本と北朝鮮「大学生14人」の交流に見た現実 平壌に約1週間滞在した堀潤氏がリポート
通訳をしてくださった方々の中には、大学院生だけでなく、ベテランの方もいらっしゃいました。お酒も交えながら、センシティブな話もしました。その人たちの話の中で、印象的な言葉を紹介します。「われわれは核開発をしていましたが、核開発が終わり、ようやく生活向上に取り組むことができる。正直ビジネスの話もしたい。いつも日本人と話すときは、『核』『ミサイル』『拉致』『歴史』の話ばかり。ほかの外国語を選択した同僚とは違う。自分が日本語を選択したのは正しかっただろうかと考えています。小泉政権時に希望を持って日本語を学んだのですが、それでよかったのかと」。
また、国名の呼び方に関して、こんな話がありました。「この国に来たからには『北朝鮮』ではなく、『朝鮮民主主義人民共和国』『朝鮮』『共和国』と呼んでほしい。『北朝鮮』という言葉には、『危険な国』というイメージがある。フラットな気持ちで呼んでほしい」と。NHKでは以前までは、正式名称を入れて原稿を読んでいました。最近正式名称を書かなくなったことについて日本の新聞記者に聞いてみると、「メディアの中でも拉致などが問題になり、『北朝鮮』という呼び名が浸透してきた」と話していました。このような変化に、メディアの中にいる人間として鈍くなっていたかもしれないと感じました。
日朝の大学生が「信頼構築」について議論
宮西有紀(以下、宮西):日朝大学生交流会は3日ありました。最終日には、龍岳山に一緒に登ってお弁当を食べて、午後に意見交換を行いました。意見交換は和やかに、時には厳しい意見も飛び交いながら進みました。
個人間の信頼についての話から、日本と朝鮮との信頼構築に話を移していきました。「信頼関係が個人的に築ける人というのはどういう人か」という問いには、「話ができる人」「約束がわかる人」「相手の思いがわかる人」などという意見が出ました。国で考えてみると、「過去に悪いことをしたら反省する」「植民地の反省が必要」「個人間と国家間の信頼関係は同じではない」という意見が上がりました。