ところが、人間に理解できなくとも、機械にはできるかもしれない。今日、一部のAI先進研究は、多変量非線形の現象を取り扱えるようになりつつある。現状は黎明期で、AIの定義はあいまいである。大学入試の英語を、文脈理解のフレームワークを持たせず、出てきた単語の頻度相関だけで解かせようとするレベルでも、開発者はAIと称している。
本物のAIが定まるのはしばらく時代を待たざるをえないが、下記はその有力候補である。深層機械学習のあるものは、問題をモデル化せず、入出力を与えて帰納的にシステムを自動生成する方向に向かっている。これが進めば、多変量非線形系の振る舞いの解析が可能になる。そうなれば碁や将棋にとどまらず、医療、人の感情のマネジメント、経営判断などで、機械が人間を超えていくであろう。そのような機械は、理由を人に説明はできないが、よい結果を出せる。ますます、職人に似てくる。
人間の脳では絶対に理解できない複雑さを持つ事象に、遺伝子の「暗号」がある。アルコール分解酵素など少数の例外を除き、多くの形質は、遺伝子の複雑な相互作用で生じる。目の色程度でも、非常に多くの遺伝子がかかわるとわかってきた。だが将来、深層機械学習は、遺伝暗号を解読するかもしれない。遺伝子から表現型の予測ができるなら、夢の技術であるが、もちろん悪夢ともなりうる。
ケーキ作りに成功する3つのヒント
さて、長い寄り道から戻り、ケーキ作りのヒントを3つ挙げたい。いずれも、料理に不慣れな理系人間向けである。まず、レシピはネット上で、作成過程の写真入りのものを選ぶ。次に、卵は共立て(卵黄と卵白を分けず、普通に卵をかき混ぜる)でよい。初心者は別立てが失敗しにくいといわれるが、それは手で泡立てる場合で、市販数千円のミキサーがあれば、共立てでもリスクは十分小さい。
最後に、飾りつけが極めて重要である。センスに自信がなければ、リンゴか梨を1個、薄く16枚「く」の字に切って砂糖で煮、クリームを塗ったスポンジに、少し重ねながら1枚ずつ丸くリング状に載せるとよい。この方法のメリットは、ケーキの上面を果物で覆うことで、クリームの塗り方が多少下手でも見栄えがするところにある。
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