高島屋vs.三越、「日本橋」売り場改革で激突! 老舗百貨店の大改装で戦略の違いが明確に

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高島屋ではコト消費を意識して、女性専用のヨガサロンなどを誘致した(撮影:今井康一)

そのほかにも、女性専用のヨガサロンなど全般に”コト消費”を意識したテナントを数多く誘致した。朝7時30分から開店、あるいは夜11時に閉店する店舗もあり、オフィスワーカーの出勤前、出勤後の需要にも照準を定める。

この新館は従来の百貨店業とは違い、専門店からテナント賃料を得る「脱・百貨店モデル」を採用する。高島屋は子会社を通じて玉川高島屋S・C(東京・世田谷区)などを運営している。

黒字化は3年目以降に

そのような施設に入居するテナントからの賃料を軸とする不動産事業は、現在、全体の営業利益のうち3割をたたきだす高島屋の収益柱となっている(前2017年度実績)。日本橋高島屋S.C.の開業により、賃料収入のさらなる積み上げを目指す。

グルメバーガーの専門店として2000年に日本橋人形町にて創業した「BROZERS’」も高島屋に出店した(撮影:今井康一)

とはいえ、日本橋高島屋S.C.は広告費、内装などの償却費といった費用が当面先行する見込み。黒字化は3年目以降となる予定で、もくろみどおり、若年層を引き付けることができるかどうかが、勝敗の分かれ目になりそうだ。

テナント賃料で収益安定化を図ろうとする高島屋に対し、三越は接客サービスに磨きをかけ、従来の百貨店業での売り上げを伸ばす方針だ。

同社は、段階的に改装を進めてきた「日本橋三越本店」の第1期改装部分を10月24日にオープンする。今回、新館1階の高級品ブランドや、本館1階の化粧品・雑貨などの売り場を改装。建築家の隈研吾氏がデザインを手掛け、白い大理石の柱にアルミパネルを組み合わせ、その内部にLED 照明を仕込み現代的な空間に仕上げた。

今回の改装はハード面だけでなく、ソフト面の充実にも重きを置いている。接客の専門家であるコンシェルジュを各階に設置するために、それぞれ常駐するデスクを設ける。

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