高島屋vs.三越、「日本橋」売り場改革で激突! 老舗百貨店の大改装で戦略の違いが明確に
コンシェルジュは食料や紳士、婦人、リビングなど7つの専門領域に分かれ、日本橋本店で働く従業員のうち約90人が着任。顧客は本館1階に新設されたレセプションに立ち寄ると、ガイドが来店の目的に応じてコンシェルジュに引き合わせてくれる。
日本橋本店は情報武装も強化する。コンシェルジュが携行する端末を通じて、購買履歴などの顧客情報を共有し、時にはコンシェルジュ同士が連携して顧客の要望に対応する。
また、端末から得た情報を蓄積・分析することで、今後の店舗運営に役立てる。日本橋本店では、今年6月に販売員30人が情報端末を携行して接客する店頭実験を実施したところ、6万1000件ものデータが集まった。「販売員がどこで顧客を誘導し、どういう動き方をしているのかが見えてきた」と、日本橋三越本店の浅賀誠店長は語る。
「百貨店の存在価値は明確になった」
日本橋本店が接客向上や情報強化を打ち出した理由について、浅賀店長は次のように説く。「百貨店はショッピングセンター、セレクトショップ、カテゴリーキラー(特定分野の商品を低価格で販売する量販店)といった業態に顧客を奪われてきた」。
さらに、「近年はEC(ネット通販)サイトがドン、と台頭してきた。だが、逆に言うと、百貨店の存続価値は明確になった。スタイリストなどの店舗販売員が顧客に提案する力こそが、あらためて百貨店の強みとして認識されるのではないか」(同)。
三越は1673年に呉服店「越後屋」として日本橋で創業。1904年に「デパートメントストア宣言」により、日本初の百貨店として現在の日本橋本店が開業した。長い歴史を持つ日本橋本店は顧客も高齢化し、現在は60歳以上の顧客が多い。1日の入店客数は平日が3万人、土日祝日が5万人で、「その多くのお客さんが、目的買いで来店される」(ベテラン販売員)という。
つまり、同店はデータ蓄積などにより接客の質を高めて、目的を持って来館する固定顧客を中心とした富裕層を徹底的に囲い込む狙い、というわけだ。日本橋本店は第2期改装部分が2019年度に完成する。2020年度の売上高は改装前に比べて100億円の増加を見込む。
新装店舗の戦略で、方向性の違いが明確になった高島屋と三越。それぞれの施策は思惑どおりの成果を出せるのか。
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