「叩いてしつける」を"必要悪"と思う親たちへ 6割の親が「体罰を容認」しているという事実

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私たちが子どもの頃は、怒鳴られたり、叩かれて育った人が多かったかもしれません。でも今はたくさんのエビデンスもあり、「怒鳴る」「叩く」子育ては子どもの成長によい影響を与えない(子ども時代の辛い体験により傷つく脳。厚生労働省「愛の鞭ゼロ作戦」)ことがわかってきています。

「子ども自身は否定せず、この手が悪いと手だけ叩く」「お尻を叩く」という方法ならいいだろう……と思いきや、3歳半までにお尻などを叩かれた子が5歳半のときに問題行動を起こす(「落ち着いて話を聞けない」「約束を守れない」など)リスクが高いという研究結果が報告されています。(2017年藤原武男・東京医科歯科大学教授らによる研究結果)。

子どもは、怒鳴らず叩かなくても育てられますし、そのほうが自己肯定感も育まれます。

その良い例が、1979年に世界で最初に子どもへの体罰・暴力を法律で禁止したスウェーデンです。私は以前に現地で取材し、政府関係者や専門家からもお話を聞かせていただきましたが、何よりも親たちが、子どもの目線に合わせて寄り添い語り掛ける姿がとても印象的でした。ただ怒らないというわけではなく、悪いこと、やってはいけないことは親が毅然とした態度で「NO」を伝えるなど、きちんと物事の善悪を教えていました。

(グラフ提供:筆者)

法改正からすでに40年近くたち、子どもに手を上げる人は少ない国になっています。法律が文化になり、風土になっているのです。この成功事例は、「体罰など必要ない」ということを私たちに示しているのではないでしょうか。

まず「怒鳴らない」「叩かない」と自分で決める

子育ての中で、「怒鳴る」「叩く」という選択肢があると、「どのくらい言うことを聞かなかったら怒鳴るべき?」と悩んでしまうこともありますし、「言うことを聞かないのは、叩き方が弱かったから?」などと、怒鳴ったり叩いたりすることがエスカレートする場合もあります。

叩いた拍子に倒れて頭を何かの角にぶつけて重傷を負った、イスから転げ落ちた、階段から落ちてしまったなどケガをしたケースも実際にあります。

虐待死のニュースなどでも、「しつけのためにやった」と答える加害者のコメントを目にすることが多くあります。親の言うことを聞かせることをしつけだと思い込み、暴力が常態化しエスカレートしてしまうこともありうるのです。

まずは、「怒鳴らない」「叩かない」と決めることからスタートしましょう。

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