「叩いてしつける」を"必要悪"と思う親たちへ 6割の親が「体罰を容認」しているという事実

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子どもを育むためには、母性的なかかわり方と父性的なかかわり方が、両方必要です。まずは母性的な対応で、子どもの気持ちをキャッチして、父性的な対応で「だからどうしたらいいか」を一緒に解決するように子どもと向き合いましょう。

「甘えさせる」と「甘やかす」の違いとは

母性の話をすると、「甘やかすことにならないのでしょうか?」と心配される方も多くいます。母性的なかかわりにおいて、「やさしくする」のは、共感と承認。そのままの気持ちを受け止めたり、「大丈夫」と背中を押してあげること。心が弱くなったときに「甘えさせる」のも、母性的なかかわりです。これは「甘やかす」こととは違います。

「やさしくされる」と心が安心・安定し満たされます。すると、前に向く力が湧いてきます。気持ちを理解されると、「じゃあどうしたらいいのか」とそこから次の行動を考えることができます。

「甘やかす」というのは、すべて子どもの言いなりになること。気持ちに共感するだけではなく、行動を許してしまうことです。ギャン泣きしたり、グズると、親のほうがつい面倒になって、一度「ダメ」と伝えたのにもかかわらず、「じゃあいいよ」と通してしまう。さっきはダメと言われたのに、グズったら通るのかと思えば、子どもは判断基準がわからなくなります。

こうなると子どもは「これもいいのか?」「これはどうなのか?」とつねに無理を言って、親の反応を試したくなります。心が不安定になり、グズリが強く、収拾がつかなくなると、親の対応に一貫性がなくなり、悪循環が生まれてしまうでしょう。

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また、「叱る」と「怒る」も違います。「叱る」はNOのラインを示すこと。それにより、これはダメなんだということが子どもに伝わります。これに対して、「怒る」は、親の感情を爆発させる行為。親の感情の起伏によって、その都度、怒られる内容やタイミングが変わり、理不尽に怒られると、何がダメなのかの判断がつきにくくなり、子どもの心が不安定になります。

そうなると、怒られないかと、親の顔色をうかがったり、ご機嫌を取るようになるかもしれません。

親子がそんな関係性になれば、子どもが自分で考えて行動することが難しくなります。

子どもが甘えたいときは、しっかり甘えさせて心を満たし、いけないことをしたら、「ダメ」ときっぱり伝えること。そんなやりとりの繰り返しが、子どもの心の基盤をつくっていくのです。

みなさんもぜひ、「怒鳴らず、叩かず」「子どもの目線に合わせて寄り添う」子育てを目指し、取り組んでみてください。

高祖 常子 認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事

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こうそ ときこ / Tokiko Koso

子育てアドバイザー。育児情報誌『miku』編集長。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事など多数の子どもの人権を守るための委員を歴任。所属学会は、日本子ども虐待防止学会、日本子ども家庭福祉学会など。東京都出身。短期大学部卒業後、株式会社リクルートで約10年、学校・企業情報誌の編集にたずさわり、妊娠・出産を機にフリーに。幼稚園教諭、保育士などの資格を持っている。著書に『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』『パパ1年生』(かんき出版)など。

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